[フランクフルト 14日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのクノット・オランダ中銀総裁は14日、ユーロ圏のインフレ率は短・中期的に予想を上回る可能性があり、このような物価上昇見通しはECBによる来年3月のパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)終了を正当化すると述べた。
講演で「消費者物価指数(CPI)のリスクは再び上向きに傾いている。短期から中期にかけた上向きリスクは主に供給面でのボトルネックの長期化や国内の賃金動向の強まりに関連している」と指摘。ただ、このような上向きリスクが顕在化しなくても、「ECBの現在のベースシナリオは2022年3月にPEPPを終了することと一致している」と述べた。
その上で「われわれは現在、PEPPからの移行を用意にするための選択肢について検討しているが、今後のデータによって現在のインフレ率のベースシナリオを取り巻くリスクがどのように展開するかが明らかになるだろう」と語った。
一方で、長期的なインフレ見通しについては緩和するとの見方を示し、インフレが制御不能に陥るとの市場の懸念を一蹴。インフレ見通しは「再び軌道に戻った」とし、市場に基づくインフレ期待によると、物価上昇率はECBの2%目標にほぼ一致しているとした。
クノット氏は「このような展開を大いに歓迎する」と述べた上で、長期に及ぶインフレ抑制期間やデフレリスクから脱却したとの見方を示した。