ドル/円
午後3時現在 76.88/92 1.3785/87 105.99/05
正午現在 76.89/92 1.3750/52 105.75/76
午前9時現在 76.90/92 1.3751/54 105.74/80
NY17時現在 76.87/91 1.3771/76 105.94/99
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[東京 14日 ロイター] 午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点
と同水準の76円後半で推移している。引き続き、76円後半を中心とする狭いレンジ取
引になった。ユーロ/ドルは1.37ドル前半が底堅く、緩やかに切り返して午後3時過
ぎに1.38ドルに乗せた。欧州の銀行の資本増強やギリシャの債務カットなど、ギリシ
ャ支援をめぐる方向が定まりつつあるとの期待から押し目ではショートカバーが入った。
ただ、ギリシャ支援構想は具体的な詰めの協議が難航するとの見方は多く、ユーロの今後
一本調子で上昇することは難しいとの声が多い。
ドル/円は76.84─77.00円の16銭レンジでもみあった。上値が重い一方で、
クロス円が底堅く推移したことで下値もサポートされ、このところの方向感の乏しい推移
がきょうも続いた。
ユーロは、米国時間の上昇が一服し、反動からアジア時間の午前には1.3723ドル
と105.57円まで下落した。早朝に、S&Pがスペインを「AA─」に格下げしたが、
ユーロの下落は限定的なものにとどまった。「東京勢はユーロのポジションメークにあま
り積極的ではなく、売り込みもみられない。このため、スペイン格下げは消化難で欧州時
間を待つほかないが、悪い材料に反応しにくくなっていることも事実だ」(国内銀行)と
の声が聞かれた。
欧州の銀行の資本増強やギリシャの債務カットなど、ギリシャ支援をめぐる方向性があ
る程度みえてきたことで、ユーロの下値不安はやや後退しているという。このため、押し
目ではショートカバーが先行し、ユーロは緩やかに切り返して1.38ドルを目指す展開
になった。
午後に入って、一部で、欧州中銀(ECB)のシュタルク専務理事が欧州予算局の創設
を提案したと報道されたことが話題になった。市場では「実現すれば、実質的な欧州の財
務省。(一元的に欧州の)財政コントロールをすることになるのではないか」(外資系銀
行ディレクター)との声が上がっている。
ただ、12日に1.3834ドルの直近高値をつけるまでの過程で、期待感もある程度
織り込まれてきている。「水準感を考えれば、好材料への反応も限られそうだ。当面は、
欧州をめぐる報道のヘッドラインに振らされながら、レンジ取引になるのではないか」
(国内銀行)との声が出ている。
<11月に79円程度までドル高/円安見込む声>
市場では、11月のドル高/円安を見込む声が出てきている。野村証券のシニア為替ス
トラテジスト、池田雄之輔氏は、3つの点をあげ「11月にはドル/円が79円程度まで
上昇する。輸出企業の売りで80円には届かないというイメージだ」としている。
池田氏のあげる根拠とは、1)米景気指標がコンセンサスに対する上振れ比率が8月か
ら上昇していること。過去をみると、3カ月遅れで米5年債利回りが上昇し、ドル/円を
押し上げている、2)11月1─2日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、追加策の
打ち止め感が出そうなこと。池田氏は、11月にコミニュケーションの明確化により政策
へのコミットを強めるなどの小幅な追加策を打ち出す可能性はあるが、それが最後の追加
策になるとみている、3)ヘッジファンドが決算をにらんで、米国債の手仕舞い売りを出
す可能性があること。需給面から米金利の上昇につながりドル/円を押し上げる──の3
点。
<EFSFにらみ公的資金注入とフランス格付けのバランスに関心>
欧州の銀行の資本増強への期待が高まるなか、EFSFの規模をめぐりフランスの格付
け維持とのバランスに関心が集まっている。体力のある銀行は自力で増資するか資産売却
かを選べるが、体力のない銀行は公的資金に頼らざるを得ない。しかし、銀行への資本注
入規模が拡大するとフランスの格付けに影響が出かねず、トリプルA格付けを失う可能性
も出てくる。EFSFはトリプルA格の国の保証を前提としているため、フランスが格下
げされると、4400億ユーロの規模が縮小することになる。
自力増強できない銀行は小規模行が中心とみられ「フランスは格付け維持に配慮しなが
ら資本注入にあたるのだろうが、格付け変更は突然発表される。どうなるかはわからない」
(住友信託銀行マーケット・ストラテジスト、瀬良礼子氏)との声が出ている。
(ロイターニュース 松平陽子)