3月1日の欧米外為市場では、ドル・円は上げ渋る展開を予想する。
重要イベント通過でリスク要因が後退するなか、主要国の株高や堅調な経済指標を手がかりに円売り基調が続くと予想される。
ただ、景気減速への懸念が広がれば、週末の調整的なドル売りがドル・円を下押ししそうだ。
前日の海外市場では、米国の10-12月期国内総生産(GDP)の予想上振れが好感され、ドル・円は111円台を回復。
米10年債利回りの大幅上昇を背景に上値抵抗線として意識されていた111円30銭付近の200日移動平均線を上抜け、昨年12月20日以来の高値水準まで値を切り上げた。
月末の調整によるフローも観測されている。
本日のアジア市場ではそうした流れを受け継ぎ、日本や中国の株高、欧米株先物の上昇を手がかりに円売り主導の展開で、一時111円70銭台まで強含んだ。
ただ、ドルの上昇ピッチの速さも指摘され、目先は上げ渋る可能性があろう。
今晩は前日同様、主要国の重要経済指標が材料視される。
欧州では英国のPMIやユーロ圏の消費者物価指数、米国では個人消費支出やISM製造業景況指数が注目され、なかでも関心の高いISM指数は前回から低下する見通し。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は日本時間本日午前に行われた討論会で、「12月の小売売上高の予想外の落ち込みが警戒の要因」、「米国は低迷する生産を含め課題に直面している」との見解を示した。
利上げ休止観測が続くなか、米国の指標が低調となればドル・円は週末の調整によるドル売りに押されそうだ。
(吉池 威)【今日の欧米市場の予定】・17:55 独・2月失業率(予想:5.0%、1月:5.0%)・17:55 独・2月製造業PMI改定値(予想:47.6、速報値:47.6)・18:00 ユーロ圏・2月製造業PMI改定値(予想:49.2、速報値:49.2)・18:30 英・2月製造業PMI(予想:52.0、1月:52.8)・18:30 英・1月住宅ローン承認件数(中銀)(予想:6.34万件、12月:6.38万件)・19:00 ユーロ圏・1月失業率(予想:7.9%、12月:7.9%)・19:00 ユーロ圏・2月消費者物価指数速報値(前年比予想:+1.5%、1月:+1.4%)・22:30 米・1月個人所得(前月比予想:+0.3%)・22:30 米・12月個人消費支出(前月比予想:-0.3%、11月:+0.4%)・22:30 米・12月コアPCE価格指数(前年比予想:+1.9%、11月:+1.9%)・22:30 カナダ・10-12月期GDP(前期比年率予想:+1.0%、7-9月期:+2.0%)・23:45 米・2月製造業PMI改定値(予想:53.7、速報値:53.7)・24:00 米・2月ISM製造業景況指数(予想:55.8、1月:56.6)・24:00 米・2月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値(予想:95.9、速報値:95.5)・03:15 ボスティック米アトランタ連銀総裁講演(経済見通しと金融政策)