[シドニー 7日 ロイター] - 本日の会合で、キャッシュレートの目標値を50ベーシスポイント(bp)引き上げ、85bpとすることを決定した。為替決済残高の金利も50bp引き上げ75bpとした。
オーストラリアのインフレ率は大幅に上昇している。インフレ率は他の多くの先進国よりも低いが、従来の予想よりも高い。新型コロナウイルスに関連したサプライチェーンの混乱やウクライナ戦争などの世界的な要因が、インフレ率上昇の原因の多くを占めている。しかし、国内要因も一役買っており、一部のセクターにおける生産能力の制約や労働市場の逼迫が物価上昇圧力に寄与している。また、今年発生した洪水も一部の物価に影響を及ぼしている。
インフレ率はさらに上昇する見通しだが、来年は2─3%の範囲に戻ることが予想される。電気・ガス料金の上昇と最近のガソリン価格の上昇により、短期的にはインフレ率は1カ月前の予想より高くなる可能性がある。世界的な供給サイドの問題が解決し、コモディティー(商品)価格が安定すれば、たとえ高水準であっても、インフレ率は鈍化すると予想される。本日の金利引き上げは、インフレ率が時間をかけて目標値に戻ることを支援するものだ。
オーストラリア経済は耐性があり、1─3月の国内総生産(GDP)は前期比0.8%増、前年同期比では3.3%増加した。家計と企業のバランスシートは概して良好で、企業投資は回復基調にあり、完成予定の建設案件は多い。マクロ経済政策が成長を支え、国民所得はコモディティー価格の上昇によって押し上げられつつある。交易条件は過去最高水準にある。
労働市場も好調だ。雇用は大幅に拡大し、失業率は3.9%と、ここ50年近くで最も低い水準にある。求人は高水準にあり、失業や不完全雇用のさらなる減少が見込まれる。企業への聞き取り調査では、企業が逼迫した労働市場で人材獲得競争を行う中、近年の低水準から賃金の伸びが加速することが引き続き示されている。
経済見通しの不確実性の要因の一つは、インフレ率の上昇により家計への圧力が高まる中、家計消費がどのように推移するかという点だ。金利も上昇している。住宅価格はここ数カ月、一部の市場で下落しているが、パンデミック前と比べると25%以上高い水準にあり、家計の富と消費を支えている。家計の貯蓄率もパンデミック前より高いままであり、多くの家計が大きな金融バッファーを築いている。中心的なシナリオでは、今年の家計消費の力強い伸びが見込まれているが、理事会は、金融政策の適切な設定を評価する際に、こうした消費に対するさまざまな影響に細心の注意を払うつもりだ。
世界の見通しは依然、ウクライナ戦争とそれがエネルギーや農産物の価格に与える影響によって不透明になっており、理事会は、十分な注意を払っていく。多くの国で実質家計所得が圧迫されており、広範なインフレに対応して中央銀行が金融政策支援を縮小する中、金融環境が引き締まりつつある。また、特に中国において、コロナに関連する不確実性が継続的に存在している。
本日の理事会による金利引き上げは、パンデミック時にオーストラリア経済を支援するために実施された異例の金融支援の巻き戻しのさらなる一歩となるものだ。経済の耐性とインフレ率の上昇は、この特別な支援がもはや必要ないことを意味している。現在の経済におけるインフレ圧力と、依然として非常に低い金利水準を考慮し、理事会は本日、50bpの利上げを決定した。理事会は、今後数カ月の間に、オーストラリアの金融情勢を正常化するためのさらなる措置を取ることを見込んでいる。今後の金利引き上げの規模とタイミングは、これから発表される各種データや、インフレと労働市場の見通しに関する理事会の評価によって決定される。理事会は、オーストラリアのインフレ率が長期的に目標値に戻ることを確実にするために必要なことを行うと確約する。