[ワシントン 26日 ロイター] - 80以上の企業団体が26日、米国製品の優先的購入を奨励する「バイ・アメリカ」政策を医療機器や製薬部門へ拡大する米政権の計画は、至急必要とする薬の供給不足が悪化したり新型コロナウイルスのワクチン開発を遅らせたりする恐れがあると警告した。
米商工会議所を含む業界団体はムニューシン米財務長官とカドロー米国家経済会議(NEC)委員長ら政府高官に対して、計画を撤回するように求めた。何年にもわたり米国の貿易相手国との関係に亀裂を残すこととなると警告した。
団体は書簡で「米政府機関が海外から医療機器や医薬品原料を調達することを妨げるのは、米国を悩ませている供給不足を悪化させるだけだ」とした。書簡の宛先にはロス米商務長官とライトハイザー米通商代表も含まれている。
大統領令を策定しているナバロ米大統領補佐官(通商製造政策局長)はFOXニュースとのインタビューで「トランプ大統領は近いうちに大統領令を完成させる」と述べた。日時は特定しなかった。
米政権の動きを中国などの貿易相手国は不安視している。新型ウイルスで世界が団結しなければならないときに中国との緊張感は再び高まっている。
トランプ米大統領と中国の習近平国家主席を含む20カ国・地域(G20)首脳は26日、電話会議で新型ウイルスのパンデミック(世界的大流行)による打撃に対応する計画を協議する。
ナバロ氏は大統領令について、3Dプリンターやその他の先端技術において国内で生産する企業はバイ・アメリカの規定と規制緩和、報奨制度に基づき恩恵を受けることができると説明した。
団体は書簡で、米産業がパンデミックに対応するために「あらゆる手段を取る」と述べた上で、米企業は必要な製品を作るために国外の供給網へのアクセスが必要であり、大統領令によって医薬品や医療品の不足が悪化することになると警告。景気回復の見込みが弱まると指摘した。
書簡は「米国は世界から孤立してはならない」とした。「危機の最中に貿易相手国に背を向けることで、パンデミックが終わった後、長期にわたり関係を悪くなる可能性がある」と警告した。また米国が国内生産を指示した場合、貿易相手国が報復し、米国からの輸入を制限する可能性があると指摘した。
新型ウイルスの米国の感染者は5万3000人を超えた。死者数は730人。