[パリ 27日 ロイター] - 国際エネルギー機関(IEA)は27日、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で世界のエネルギー投資が2020年に20%前後、額にして4000億ドル減少し、過去最大の落ち込みを記録するとの見通しを示した。
このエネルギー投資の大幅な落ち込みがエネルギー安全保障やクリーンエネルギーへの移行に深刻な影響を及ぼす恐れがあるとIEAは警告している。
各国政府は新型コロナ感染症を封じ込めるために導入した封鎖措置の段階的解除に着手している。
IEAによると、今年初めには、世界のエネルギー投資は2020年に2%増え、6年ぶりの大幅増加になると予想されていた。2019年の世界全体の投資総額は1兆8000億ドルだった。
IEAのビロル事務局長は「世界のエネルギー投資の歴史的な落ち込みは多くの理由から深刻な問題だ」とした上で、「雇用や経済的機会の喪失、そして経済が回復すれば必要になるかもしれないエネルギー供給も失われることを意味する」と指摘した。クリーンエネルギーへの移行も打撃を受けると述べた。
IEAによると、エネルギー需要の減少と価格の下落により、政府やエネルギー業界の収入は2020年に1兆ドル以上落ち込むと予想されている。
2020年に石油・ガスへの投資は3分の1近く減少する見通しで、石油への投資がこの水準にとどまれば、2025年の世界全体の供給は日量900万バレル近く減ることになり、需要がコロナ危機前に水準に戻れば明らかに市場がタイト化するリスクがあるという。