[北京 10日 ロイター] - 在中国の欧州連合(EU)商工会議所が10日公表した調査によると、COVID─19(新型コロナウイルス感染症)の流行は欧州企業が中国で事業を行う上で直面している売り上げ鈍化や規制上の障害、国営セクターの影響力といった問題を深刻化させている。
調査は2月に実施され、626社から回答を得た。それによると、昨年に中国本土での売上高が5%またはそれ以上増加した企業は全体のわずか半分で、10年ぶりの低い比率となった。
回答企業は、中国の景気減速が事業にとって最大の課題との認識を示した。新型コロナ封じ込めに向けたロックダウン(封鎖)措置が取られた第1・四半期の中国国内総生産(GDP)は6.8%減少し、政府は2020年通年の成長率目標の設定を見送った。
調査は「COVID─19による売上高伸び率への悪影響の全容は引き続き不透明だが、トレンドが厳しいのは否定できない」と分析した。
調査によると、2019年の売上高と利払い・税引き前利益(EBIT)の伸びが鈍化した可能性が最も高いのは中小企業や、化学、石油、自動車、建設、物流セクターの企業。これらの企業は新型コロナの影響も深刻となっている。
また、中国の規制環境の改善は2019年に緩やかなものにとどまり、44%の企業が規制上の障害が今後5年間に拡大すると予想した。
さらに半数近くの企業は、中国の国営セクターが今年、民間セクターの犠牲の下に、機会を得るとの見方を示した。
調査は「COVID─19の流行はこの問題をさらに深刻化させるとみられる」とし、中国政府は不透明な局面における安定の源として国営企業に頼っており、民間セクターからさらにリソースが流出する可能性があると指摘した。