[ロンドン/フランクフルト 10日 ロイター] - 関係筋によると、欧州中央銀行(ECB)は、新型コロナウイルスの流行に伴う不良債権の増加に対応するため、不良債権の受け皿機関「バッドバンク」を設立することを検討している。
失業の増加に伴う所得の減少で債務の返済が滞る事態に備えて、商業銀行を支援することが狙い。
ECBはすでに同構想を検討する作業部会を設置し、数週間前から急ピッチで作業を進めているという。
ECBはコメントを控えている。
公式統計によると、カードローン、自動車ローン、住宅ローンなど、現段階で完済の可能性が低いとみられているユーロ圏内の債務はすでに5000億ユーロ以上に達している。
関係筋によると、新型コロナの流行で借り手がさらに圧迫されれば、完済が難しい債務は1兆ユーロに達する可能性がある。
ユーロ圏では2年以上前にもバッドバンク構想が議論され、棚上げされた経緯があるが、ECBはラガルド新総裁の下で、数週間前から銀行や欧州連合(EU)当局者にこの構想について話を聞いているという。
構想を実現するには、域内最大の経済大国であるドイツの賛成が必要になる。
関係筋によると、ユーロ圏の救済基金である「欧州安定メカニズム(ESM)」がバッドバンクの保証人となる案が浮上している。
商業銀行は不良債権をバッドバンクに移し、バッドバンクが発行する債券を買い取る。商業銀行はバッドバンクが発行した債券を担保にECBから資金を借り入れることができる。
この計画を実現するために、欧州の大手銀行が協力を要請される可能性もあるという。