[ロンドン 12日 ロイター] - 新型コロナウイルス流行による経済的打撃から、世界の極貧状態の人口が3億9500万人増加し、1日あたり1.90ドル未満で暮らさなくてはならない人の数が10億人を突破する可能性があるとの研究結果が12日、発表された。
調査は、キングス・カレッジ・ロンドンとオーストラリア国立大学の研究者らが実施し、国連大学世界開発経済研究所(UNU-WIDER)が発表。世界銀行が設定している貧困ラインを考慮して多数のシナリオを精査した。世銀の貧困ラインは、1日の生活費が1.90ドル未満の極度の貧困から同5.50ドル未満まで複数設定されている。
最悪のシナリオでは、1人当たりの所得または消費が20%減少し、極度の貧困人口が11億2000万人に増加する。中・高所得国における1日の生活費5.50ドル未満の貧困層も同程度の減少が想定されるという。
報告執筆者の1人であるアンディー・サムナー氏は、「貧困層が直面している日々の収入減を埋め合わせるため政府が努力を強化、迅速化しなければ、世界最貧困者の見通しは暗いものとなるだろう。貧困改善の進展が20─30年後退し、貧困撲滅という国連の目標が夢想に終る可能性がある」と述べた。