[ワシントン/ニューヨーク 15日 ロイター] - 米政府が新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)対策として打ち出した総額1兆ドル強の支援基金について、不正や悪用を監視するために設置された委員会は、トランプ政権が監視を妨害していると議会に書簡で報告した。15日に書簡の内容が明らかになった。
監察官で構成するパンデミック対応説明責任委員会(PRAC)の幹部らは議会指導部に宛てた書簡で、財務省の当局者らが、コロナウイルス支援・救済・経済保障法(CARES法)に基づき同省が管理を任されている基金の1つについて、重要情報を同委に報告する義務はないと回答したと明らかにした。書簡は11日付で、15日に閲覧した。
トランプ政権が過去最大規模の景気刺激策について透明性や監視の余地を制限しようとしていることが改めて明らかになった。トランプ氏はまた、複数の監察官を解任しており、トランプ政権と監視機関側との対立がくすぶり続けている。
PRACの幹部らは書簡で、財務省の当局者らが示した見解によって、州・地方政府や中小企業、航空会社を対象とし、税金を原資とする支援措置を適切に監視する同委の能力が損なわれる可能性があるとの懸念を示した。
PRACのマイケル・ホロウィッツ委員長代行とエグゼクティブディレクターのロバート・ウェストブルックス氏はまた、財務省からは他に報告が義務付けられている資料を代用するという提案があったと明らかにしたうえで、それでは不十分だとの見方を示した。
財務省はコメントの要請に応じていない。