[ロンドン 16日 ロイター] - 国際エネルギー機関(IEA)は16日、石油需要は今年、新型コロナウイルスの打撃により過去最大の落ち込みを記録し、その後回復する見通しだが、航空需要の鈍りから、コロナ前の水準に回復するのは2022年以降になるとの見方を示した。
IEAは月報で「21年の石油需要予測は日量570万バレル増の同9740万バレルだが、これは19年の水準を同240万バレル下回る」とした上で「ジェット機や燃料の引き渡しの減少が少なくとも22年まで石油需要全体に影響を及ぼす見込みで、航空業界は存亡の危機を迎えている」と述べた。
新型コロナの感染拡大による都市封鎖(ロックダウン)の緩和に伴い、航空旅行は5月中旬以降、微増に転じ、6月には伸びが加速しているが、それでも19年の水準からは7割以上落ち込んでいるという。
20年の石油需要予測は、アジアの輸入が予想以上に好調として、日量50万バレル近く引き上げた。「中国では4月に都市封鎖が強硬に解除されたことで需要がほぼ昨年の水準に戻しているほか、インドでも5月に需要が力強く持ち直しているが、水準としては依然として前年を大きく割り込んでいる」と指摘した。
IEAは、5月の世界的な石油供給が日量1180万バレル急減したことを受け、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国による「OPECプラス」が生産量を同940万バレル削減したほか、協定外の国々の生産量も今年に入ってから同450万バレル減少しているとした上で、原油価格の上昇が新たなシェールオイル投資を呼び込まない限り、米国の生産量は20年に同90万バレル、来年にはさらに30万バレル減少する見込みとした。