[4日 ロイター] - 世界の二酸化炭素(CO2)排出量が新型コロナウイルス流行前の水準付近まで増加したことが、4日発表の報告書で明らかになった。輸送部門の排出量は低水準で安定しているものの、電力・工業部門で石炭・天然ガスの排出量が急増した。
報告書の主筆であるピエール・フリードリンシュタイン英エクセター大学研究員は「一定の増加は予想していたが、増加の激しさと速さに驚いた」と述べた。グローバル・カーボン・プロジェクトがまとめた。
昨年のCO2排出量は、ロックダウン(都市封鎖)や経済活動の停止を受けて、19億トン(5.4%)減と記録的な落ち込みとなったが、今年の排出量は4.9%増加する見通し。
主要排出国では、中国とインドの今年の排出量が2019年を上回る見込み。米国と欧州の排出量は、やや鈍化するという。
今年の世界のCO2排出量は364億トンに達する見通し。
フリードリンシュタイン氏は、今後30年間で排出量を実質ゼロにするには、大幅なCO2排出削減が必要だと指摘。「おおまかに言えば、今から2050年まで毎年、新型コロナ危機の際と同程度(の削減)が必要になる」と述べた。