[北京/ワシントン 16日 ロイター] - 中国の習近平国家主席はバイデン米大統領との初の米中首脳オンライン会談で、バイデン氏を「老朋友(古い友人)」と呼び掛けあいさつしたが、これはバイデン氏がかつて抵抗した表現でもある。
中国で「老朋友」という表現は好意を含んでおり、親しみと信頼を示している。68歳の習主席がこの表現を用いたのは、2人が最高指導者になる前の2011年8月に四川省で何時間にもわたって会話したり、移動したりした共通体験が背景となっている。
全球化智庫(センター・フォー・チャイナ&グローバリゼーション)の王輝耀理事長は、習主席がこの表現を用いたのは真の友好の証だと指摘する。
オバマ政権下で東アジア・太平洋担当の国務次官補を務めたダニエル・ラッセル氏は、この表現は会談冒頭で各リーダーが「話術で優位な立場」を得ようとする試みの一つだと指摘。「習氏は意図的にバイデン氏に『私の古い友人』とあいさつしているが、バイデン氏はこの夏、2人が『友人』であることを明確に否定した。そしてバイデン氏は歯を見せて笑いながら、中国を含む全ての国が『同じルールで行動しなければならない』と習氏に念を押した」と語った。
中国人民大学国際関係学院の時殷弘教授は、両国関係が困難な状態にあるにもかかわらず、習氏がこの表現を使ったことに注目。「私たち中国人が誰かを『老朋友』と呼ぶ時、それは長い付き合いであることを意味する。しかし、『老朋友』は必ずしも今も本当の友人であることを意味しない」と述べた。
現在の外交的緊張を考えると、バイデン氏は米国の同盟国や政敵からあまり「友人」と思われたくないのかもしれない。
6月には、ある記者が78歳のバイデン氏に、新型コロナウイルスの起源を巡る調査で中国の協力を得るため習氏を「古い友人同士」と呼ぶ可能性があるかどうかを尋ねた。
バイデン氏は当時、「はっきりさせておこう。私たちはお互いに良く知っているが、古い友人ではない。これは純粋なビジネスだ」と語っていた。
15日の会談を前に、ホワイトハウスのサキ報道官は、このやり取りについて尋ねられ、「私が確認できるのは、彼(バイデン氏)はまだ彼(習氏)のことを『古い友人』とは思っていないということで、それは一貫している」と述べた。