[ジュネーブ 24日 ロイター] - 世界保健機関(WHO)は24日、新型コロナウイルス感染の重症化リスクは子どもや青年の方が低いため、各国は大人を優先し、ワクチン共同購入・配分の国際枠組み「COVAX」でワクチンを共有して貧困国に供給すべきだと表明した。
WHOは「世界の多くの地域が極度のワクチン不足に直面しているため、高リスクグループの接種率が高い国は子どもや青年にワクチンを接種する前に、新型コロナワクチンの世界的な共有を優先すべきだ」とコメントした。
米ファイザー、独ビオンテック、米モデルナのメッセンジャーRNA(mRNA)技術に基づくワクチンを接種した若い男性に、まれに心筋炎と呼ばれる心臓の炎症が報告されているものの一般に軽度で、治療の効果があったという。
このリスクは完全には解明されていないが、子どもや青年の新型コロナ感染による心筋炎のリスクよりは低いとしている。
WHOの今回の暫定的ガイダンスは、米国や中国、欧州、インド、イスラエル、最近では先週のカナダといったより多くの規制当局が特定のワクチンを子どもに接種することを承認している中で発表された。
WHOは「子どもや青年は大人に比べて症状が軽い傾向があるため、重症リスクが高いグループでない限り、高齢者や慢性的疾患のある人、医療従事者に比べてワクチン接種の緊急性は低い」と指摘した。
子どもは症状が長引く「新型コロナの感染期間長期化」を経験する可能性があるが、これに関してはまだ調査中としている。また、子どもが重症化する危険因子として、より高い年齢と肥満のほかに2型糖尿病や喘息、心臓病などの既存症が報告されているとしている。
WHOは、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)では学齢期の全ての子どもの教育を維持することが重要な優先事項とした。ただ、学校での感染対策が必要になる可能性もあるとした。
ワクチン供給に制約がある中、ワクチン接種は入院や死亡のリスクが高いグループの保護に重点を置くべきとも指摘した。