[29日 ロイター] - 米ミズーリ州東部地区の連邦地裁は29日、高齢者や低所得者向けの医療保険を運営する政府機関メディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)による医療従事者へのワクチン接種義務化について、同機関の権限を超える可能性があるとして10州で一時差し止めを命じた。
審理が終わるまでの暫定措置となるが、バイデン政権のワクチン義務化方針が司法の壁に阻まれるのはこれが2回目。ニューオーリンズの控訴裁は6日、民間企業を対象にワクチン接種などを義務付ける方針について、執行停止命令を出した。
CMSは声明で、地裁の判断を精査しているとした上で、ワクチン未接種の医療従事者は患者の安全を脅かしているとの見解を示した。
今回の判断が適用されるのは、訴訟を提起したミズーリ州、ネブラスカ州、アーカンソー州、カンザス州、アイオワ州、ワイオミング州、アラスカ州、サウスダコタ州、ノースダコタ州、ニューハンプシャー州。共和党所属の州司法長官らは訴訟で、ワクチン義務化は医療現場の人手不足を悪化させると主張していた。
マシュー・シェルプ地裁判事は、CMSはワクチン義務化にかかる多額のコストを少なく見積もり、義務化に関する意見公募も行わなかったと指摘。また、CMSによるワクチン義務化ルールは連邦政府と州政府の権限バランスを変えるほか、議会の承認を得ていないという問題を指摘した。
CMSは11月4日にワクチン義務化の暫定ルールを発令。医療機関の従業員やボランティア、委託業者は全員がワクチン接種の必要があり、義務を果たせなければ政府からの資金交付を受けられなくなる可能性があるとしていた。
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