[東京 2日 ロイター] - 日銀の鈴木人司審議委員は2日、兵庫県金融経済懇談会後の記者会見で、来年3月に期限を迎える新型コロナ対応特別プログラムについて、12月の日銀短観を含め、企業金融の動向を点検した上で適切に判断していきたいと述べた。
鈴木委員は、銀行が通常業務の範囲で資金繰りを支援することも可能だと話し、来年3月の期限で終了することもあり得ると述べる一方、オミクロン株の影響の不確実性を加味して延長すべきとの考え方もあり得るとし、スタンスを明確にしなかった。
<社債・CP市場、「大きく改善」>
鈴木委員は、特別プログラムの開始当初は新型コロナの感染拡大で先行き不透明感が高く、金融機関は「与信判断のしようがない状況だった」と指摘。そうした状況下では政府・日銀の支援策が不可欠だったと述べた。
しかし、ワクチン接種の進展などで状況が改善。預金増や日銀からの資金供給で金融機関は「流動性において何の問題もない」とした。新型コロナオペは、日銀が金融機関に付利を実施することで利用が加速したが、鈴木委員は「付利がなければ顧客を支援しないという金融機関はないだろう」と語った。
特別プログラムはコロナオペと社債・CPの積極買い入れで構成する。社債・CP市場について鈴木委員は、発行環境や発行レート、投資家動向は総じて「昨年の春先のような状況からは大きく改善し、その状況が継続している」と指摘。市場動向を見ながら最終判断するが、「中小企業向けのコロナオペより、もう少しその辺ははっきりしていきているのではないか」と述べ、社債・CPの買い入れ縮小を支持する姿勢をにじませた。
(和田崇彦 編集:山川薫)