[パリ 8日 ロイター] - 世界の航空業界は8日、各国政府による国境封鎖措置や「搾取的」なウイルス検査体制によって新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」への懸念を増幅させていると非難し、科学的データに基づいて旅行者自身に判断させるように政界に対して求めた。
国際航空運送協会(IATA)のウォルシュ事務局長は、オミクロン株に起因する「条件反射的な」国境制限が近く緩和されると予想しているが、休暇シーズンの旅行に支障が出るかどうかを言及するのは時期尚早とした。
記者会見で「新しいウイルスが発生したからといって、全てを閉鎖することはできない」と述べ、急いで渡航を禁止したことで南アフリカのような感染者を報告した国を罰するような事態になってしまったと指摘した。
しかし、今回の緊急事態は長続きしないだろうと予想し、2024年から航空旅行が新型コロナ危機以前の水準に戻るとしているIATAの予測には影響しないとの見方を示した。
また、競争当局が新型コロナ検査の価格を調査すべきで、価格が実際のコストとは無関係なケースもあると述べた。
英国の競争監視当局は8月、英国内のPCR検査の価格と信頼性が懸念される中、新型コロナ検査を手掛ける企業が消費者法に違反していると判明した場合、政府対応を支援すると発表した。
ウォルシュ氏は「政府や競争規制当局が介入し、消費者が搾取されるのを食い止めてほしい」と語り、「どうしてこのようなことが起きたか、すべてのお金がどこに行ったのかを理解する必要があると思う」と言及した。