[バンコク 9日 ロイター] - タイ中央銀行のセタプット総裁は9日、同国経済は2023年第1・四半期に新型コロナウイルス禍前の水準に回復する、との見通しを示した。回復のペースは東南アジア地域の一部諸国に比べて鈍い、とした。財界フォーラムで述べた。
総裁は、「コロナ禍は我が国の観光産業を直撃しており、回復ペースは鈍く、まだら模様になるだろう」と述べた。
コロナ禍前、観光は同国国内総生産(GDP)の約12%を占めていた。2019年に同国を訪れた外国人観光客は4000万人だったが、今年は20万人程度にとどまっている。総裁は、来年は600万人前後になるとの予想を示した。
中銀は、今年の経済成長率を0.7%、来年は3.9%と予想している。
セタプット総裁は、観光関連サービス部門の回復の鈍さと、オミクロン株の出現による先行き不透明感の高まりから、回復はまだら模様になるだろうと述べた。
一方、輸出関連を中心とする製造業などその他の部門は、コロナ禍前の水準を回復したか、既に上回っているとの見方を示した。
さらに、インフレ加速や主要中銀の金融引き締め政策といった下振れリスクについて、対外的な緩衝要因で「かなり制御できる」との見通しを示した。