[キャンベラ/パリ 12日 ロイター] - 南太平洋の仏領ニューカレドニアで12日、フランスからの独立を問う住民投票が実施された。独立賛成派によるボイコット運動で投票率が大幅に低下する中、暫定結果では反対多数で独立が否決された。
独立賛成派が多い先住民カナクは、9月の新型コロナウイルス感染拡大を受けて12カ月間の服喪期間にあることを理由に、住民投票の延期を求めていた。
仏当局が発表した暫定結果によると、反対票は96.5%、投票率は43.9%。反対票は2020年の前回投票で53%、18年の投票では57%だった。
ニューカレドニアの独立の是非を巡っては、1998年の「ヌメア協定」で3回の住民投票を行うことで合意しており、今回が最後となる3回目に当たる。
マクロン仏大統領はテレビ演説で「住民はフランスへの残留を選択した。彼らはそれを自由に決定した」と強調。その上で「長年にわたり分断が続いたことは無視できない。これから移行の時が始まる」と述べた。
独立派指導者であるニューカレドニア議会のワミタン議長は、現地の服喪の慣習を尊重して3回目の住民投票を来年9月に延期するよう求める声を仏政府が退けたのは遺憾だとコメント。
「われわれにとって、これは3回目の住民投票ではない。合法的な住民投票は18年と20年の2回のみだ。今回の住民投票はフランスの投票であり、われわれの投票ではない」と述べた。
アナリストは、独立派の間で反発が広がり、混乱が起きる可能性に懸念を示している。
シンクタンク「IISS」のアナリスト、フランソワ・エズブール氏はツイッターで、最悪のシナリオは、反対多数で独立が否決される一方、カナクの大規模な棄権で投票の正当性が否定されることだと指摘した。
ニューカレドニアはオーストラリアの東1200キロに位置し、ニッケル資源が豊富。