[シドニー 16日 ロイター] - オーストラリアのフライデンバーグ財務相は16日、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」について、予想される感染拡大に対し州政府トップは「パニックや過剰反応」に陥るべきではないと述べた。
豪州の人口約2600万人の半数以上を占めるニューサウスウェールズ(NSW)州とビクトリア州は15日、ワクチン未接種者も対象に厳しい規制の大半を緩和した。16歳以上のワクチン2回接種率が90%を超えたことを受けた。
ただ、NSW州では16日発表の新規感染者数が1742人と過去最多を更新。わずか1週間前の420人を大幅に上回った。ビクトリア州の新規感染者も1622人と、約7週間ぶりの多さとなった。
フライデンバーグ氏はセブン・ニュースで「過剰反応すべきではない。コロナと共存する必要性を理解すべきだ。ロックダウン(都市封鎖)再導入は誰も望んでいない」と述べた。
モリソン首相は、感染者数ではなく入院率に焦点を移すよう呼び掛けている。入院率は今のところ低水準にとどまっているが、専門家からはオミクロン株の拡大を抑えるため制限を強化すべきとの声も上がっている。
疫学専門家のナンシー・バクスター氏は公共放送ABCで、従来株より感染スピードがかなり速い変異株が広がる中で制限緩和を決めた国は他にないと批判した。
NSW州当局者は、オミクロン株の拡大で州内の新規感染者が1月末までに1日当たり2万5000人に増加する可能性があると警告している。