[ジュネーブ 21日 ロイター] - 世界保健機関(WHO)のクルーゲ欧州地域事務局長は21日、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」が拡大する中、欧州諸国に対し感染者の「急増」に備えるよう呼び掛けた。
記者会見で、WHO欧州地域53カ国のうち少なくとも38カ国でオミクロン株が確認されており、デンマーク、ポルトガル、英国など複数の国で既に主流になっていると指摘。
「新たな嵐」が迫っていると述べ、「欧州地域のより多くの国で数週間以内にオミクロン株が主流になり、既に逼迫している医療体制が一段と危機にさらされる」と警鐘を鳴らした。
その上で「追加接種(ブースター接種)がオミクロン株に対する最も重要な防御手段だ」と述べた。
WHO欧州地域にはロシアや他の旧ソ連諸国、トルコも含まれる。
WHOのデータによると、同地域は過去数週間の人口当たり感染者数が他のどの地域よりも多くなっている。
クルーゲ氏は、欧州でこれまでに確認されたオミクロン株感染の89%で咳や喉の痛み、発熱といった一般的な新型コロナの症状が見られたと指摘。20代や30代の感染が大半を占め、都市部での懇親会や職場の集まりから広がっているとした。
「新規感染者が膨大な数に上る中、入院者数が増加し、医療システムや他の必須サービスに広く混乱が生じる可能性がある」と警告し、「政府や当局は急増に備えて態勢を整える必要がある」と訴えた。