[ワシントン 30日 ロイター] - 米労働省が30日に発表した12月25日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は19万8000件と、前週の20万6000件(改定)から改善した。新型コロナウイルスのオミクロン変異株の拡散により感染者が再び急増しているものの、雇用への目立った影響は見られない。
市場予想は20万8000件だった。申請件数は昨年4月上旬に記録した過去最悪の614万9000件から大幅に減少している。
失業保険申請件数は季節調整で押し下げられた面もあるが、当該週の季節調整前の数字は前週比ほぼ横ばい。ジェフリーズのエコノミスト、トーマス・シモンズ氏とアネタ・マーコウスカ氏は「季節調整前の数字がほぼ横ばいだったことは、オミクロン株の感染拡大による影響がなかったことを示している」と述べた。
12月18日までの1週間の継続受給件数は171万6000件と、2020年3月7日以来の低水準。コロナ禍前の水準に戻った計算になる。
オックスフォード・エコノミクスのリードエコノミスト、ナンシー・バンデン・ホーテン氏は「仕事に復帰する人が増え、新規失業保険申請件数が低水準で推移していることを踏まえると、継続受給件数は170万件近辺にとどまる」と予想。ただ、オミクロン株の拡散でこうした動きが鈍化する可能性もあるとした。
週ごとのボラティリティを除くベースでの失業率は4.2%と、21カ月ぶりの低水準にあり、労働市場は引き締まった状況にある。ただ、米国でもオミクロン株の感染が急拡大する中、こうした勢いが持続されるのか疑問が台頭。一部エコノミストの間で来年の経済成長率見通しを下方修正する動きも出ている。