[東京 7日 ロイター] - 内閣府は7日、日本経済の現状と課題を分析した報告書「日本経済2021─2022」を公表した。新型コロナウイルス禍で非正規労働者や女性にしわ寄せがきていると指摘。また、金利低下が進むなかで資産格差が拡大傾向にあるとした。
物価高に関しては、燃料費や食品価格の上昇が消費者心理に与える影響を注意する必要があるとし、賃上げの重要性を強調した。
<所得・資産格差拡大、単身世帯増>
報告書では、所得分布の不平等度を示すジニ係数について、世代ごとに2002-17年の推移を比較し、25─34歳の若年層で「男性の非正規雇用比率の高まりなどを背景に拡大傾向にある」と指摘した。
25-34歳の所得状況を14年と19年で比較し、世帯所得が500万円の世帯では「未婚化や晩婚化の進展などを背景に単身世帯の割合が大きく高まっている」とした。
14年と19年では、金利低下が進むなかで、家計資産総額を最も多く保有する層の利子・配当金収入の比率が高まっており「有価証券の保有割合が大きいことなどを背景に、資産所得の格差は拡大傾向」と分析した。
<感染拡大で女性・非正規雇用減少>
一方、物価面では、輸入価格の高騰を受けて、21年初以降、ガソリンなどエネルギーを中心に消費者物価が上昇しており、家計の年間収入を5つに分類したなかで、一番低所得の平均年間収入255万円程度の層では、収入との比較で負担が大きくなっていると指摘した。
エネルギー価格高騰は家計に占める暖房費の割合が高い、北海道や東北、北陸など寒冷地で負担増となっているとしている。
総消費支出の約3割を占める食料品価格が頻繁に上昇しており、消費者の物価上昇期待を押し上げているとし「食料品価格上昇の更なる広がりが消費者心理に与える影響には注意が必要」としている。
輸出物価を輸入物価で割った交易条件は、原油などの価格高騰の影響で21年以降悪化したが、要因のうち、為替は輸出・輸入物価に同程度の影響があるため「交易条件に大きな影響は及ぼしていない」と総括している。
感染拡大以降、正規雇用は男女ともに医療・福祉や情報通信業を中心に増加が続く一方、非正規雇用は減少しており、感染症の影響は非正規雇用者に集中しているとしている。特に「女性の非正規雇用は、おおむね医療・福祉を除く全ての業種で減少している」とした。