[ワシントン 9日 ロイター] - バイデン米大統領は、中国が影響力を強めている太平洋諸島に今週、外交トップを送り込むが、マーシャル諸島の駐米大使はロイターに対し、安全保障分野の米国との協定の更新協議が止まっていると述べた。
ブリンケン国務長官は、オーストラリアでの日米豪印4カ国(クアッド=QUAD)外相会合に出席した後、12日にフィジーを訪問して太平洋諸島の首脳らと会談することになっている。
マーシャル諸島などの太平洋島しょ国は、米国と自由連合協定(コンパクト、COFA)を締結し、安全保障を米国に委託している。マーシャル諸島、ミクロネシア連邦とのコンパクトは2023年に、パラオは24年にそれぞれ期限を迎える。
マーシャル諸島のジェラルド・ザキオス駐米大使は、バイデン政権はインド太平洋の安全保障問題に深く関わる方針を示しているが、コンパクト更新に向けた協議は、米政権交代後、行われていないと述べた。原因はバイデン政権が経済支援以外の重要問題を担当する交渉担当者を任命していないことだと指摘した。
米政権高官は先週、ロイターに、同盟国やパートナーとともに太平洋諸島の新たなイニシアチブを発足させ、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦、パラオとのコンパクト更新交渉をまとめる計画だと述べたが具体的な時期は示さなかった。
ザキオス氏は「大統領任命特使が決まるまで、交渉は止まったままだとみている」と語った。
米民主党のケイティ・ポーター下院議員は昨年9月、国家安全保障会議(NSC)のキャンベル・インド太平洋調整官に書簡でコンパクト更新協議を担当する特使の任命を要請した。
ポーター議員の報道官によると、まだ公式な返答は来ていないという。
ホワイトハウスと国務省のコメントは得られていない。