［香港 １６日 ロイター］ - 中国の習近平国家主席は、香港で新型コロナウイルスの感染が急拡大している状況を受け、感染の収束を最優先するよう香港政府トップに指示した。中国共産党系の香港紙、文匯報と大公報が１６日伝えた。
習主席は韓正・副首相に対し、自身が香港での感染拡大を懸念し、市民を気遣っていることを香港政府トップの林鄭月娥（キャリー・ラム）行政長官に伝えるよう指示したという。
両紙ともに一面記事で習氏の最近の発言として伝えたが、どこで発言したかは明らかにしていない。
記事によると、習主席は、香港政府が「市民の安全と健康を守り、社会の安定を確保するために必要なあらゆる措置を講じるため、全ての権限と資源を動員しなければならない」と発言。中国政府はすでにコロナ対策で香港と協力する体制を構築したという。
香港の保健当局は１６日、過去２４時間で新規感染者が過去最多の４２８５人に達したと発表。月初の水準から４０倍以上となっている。新たな死者は３歳の女児を含め９人となった。
ラム長官は１５日の定例会見で、香港での感染拡大について、域内全域でロックダウン（都市封鎖）を導入する計画はないとしつつも、医療体制が逼迫しており、政府の対応が満足の行く成果を上げていないと語っていた。
長官は、３月の行政長官選挙を延期する可能性を排除できないとも発言。再選を目指すかどうか明らかにしていない。
長官は１６日の政府声明で、習主席に心からの感謝の意を表明。「香港政府は習主席からの重要な指示に従い、責任をもって、感染を落ち着かせなければならない」とし、感染収束を最重要任務と位置付けた。
人口７５０万人の香港ではこれまで、約２万６０００人が新型コロナに感染、２００人超が死亡しているが、同規模の都市と比較すると感染者と死者の数ははるかに少ない。
しかし、医療専門家は、高齢者の間でワクチン接種をためらう人が多いため、３月末までに１日当たり感染者が２万８０００人に急増する恐れがあると警告している。
観光やビジネスで栄える香港の国境は２年ほど前から事実上閉鎖されており、世界で最も孤立した都市の一つとなっている。
教会やパブ、学校、ジムなどの施設は閉鎖されたままで、公共の場での集会は禁止されている。レストランでの午後６時以降の飲食は禁止され、大半の人が自宅で仕事をしている。