[ドネツク/モスクワ 19日 ロイター] - 緊張が続くウクライナ情勢は19日、プーチン大統領が見守る中でロシア軍の戦略核部隊が演習を行う一方、ドイツのミュンヘンに集まった主要7カ国(G7)の外相がロシアに軍の撤収と外交的な解決を呼びかけた。
ロシア大統領府によると、艦艇から巡航ミサイル「カリブル」、極超音速巡航ミサイル「ツィルコン」などを発射する演習を実施した。東へ数千キロ離れたカムチャッカ半島の目標を狙い、ロシア北西部とバレンツ海の潜水艦から弾道ミサイルを1発ずつ発射した。
プーチン大統領はクレムリンの「情勢センター」で演習開始を命令。ベラルーシのルカシェンコ大統領と並んで座って様子を見守った。
一方、G7は19日にミュンヘンで外相会合を開催。ロシア軍がウクライナ国境付近で活動を縮小している証拠は確認できないとし、事態をなお「深く憂慮」しているとの共同声明を発表した。
声明の中で7カ国の外相は、「われわれはロシアが外交の道を選び、緊張緩和に取り組み、ウクライナ国境付近から軍の大部分を撤収、国際的な約束に従うことを求める」と要請した。「その第一歩として、公表している軍撤収の実行を期待する。軍が撤収している証拠は何も確認できない」とした。
これとは別に、リトアニアを訪問中のオースティン国防長官は19日に会見し、ロシアはいつでもウクライナへ侵攻できると警告を鳴らした。陸軍出身のオースティン氏は「ロシアは部隊を展開し、攻撃態勢にある」と発言。「私自身経験があるが、攻撃に必要、攻撃に入るために必要な態勢をまさしく取っている」と語った。
ロシアはウクライナとの国境周辺に大規模な部隊を集結。米国と北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対し、ロシアの安全を保障するよう要求し、ウクライナに侵攻することはないと主張している。
ロシア外務省によると、ラブロフ外相は19日に電話で会談したフランスのルドリアン外相に対し、「この地域におけるロシアの主権を無視すれば、欧州大陸だけでなく、世界の安定に逆の効果をもたらす」と語った。
親ロシア派武装勢力とウクライナ政府軍による衝突が発生しているウクライナ東部情勢を監視する欧州安保協力機構(OSEC)は19日、1日で1400件以上の爆発があったと発表。砲撃が急増していると警告した。
ドイツとフランスはこの日、ウクライナに滞在する自国民に退避を呼びかけた。