[ブリュッセル 4日 ロイター] - 欧州疾病予防管理センター(ECDC)のデータによると、欧州連合(EU)で2月27日までの1週間に新型コロナウイルスワクチンの接種を受けた人は400万人未満となり、2021年1月以降で最低となった。新型コロナのパンデミック(世界的大流行)に対する懸念が薄れ、各国政府が制限を緩和し、国民の関心がウクライナ危機に移ったことが背景にある。
EUでのワクチン接種者数は新型コロナの感染者数減速に伴い、今年に入ってから減少傾向が続いている。ECDCのデータによると2月半ばから下落が加速し、ワクチン接種者数は平均で週30%減り、祝日を除いた減少率として最大となった。
これは感染力が強いオミクロン変異株が以前のものより軽症なのが判明後、各国政府が職場や公共の場でのワクチン接種証明書の提示義務付けといった制限の解除を始めたのが要因。
EUの人口のうち約72%がこれまでにワクチンを2回受けた一方、数千万人が未接種となっている。
ワクチン接種の減少は、世界の関心がパンデミックからウクライナ危機へと移った時期と重なる。米グーグルのインターネット検索データによると、2月半ばに米政府がロシアのウクライナ侵攻が迫っていることを警告し始めた時期に、ウクライナ情勢が注目されるようになった。
イタリアのパドバ大のアントネラ・ビオラ教授(免疫学)はロイターに対し「人々は既に危険を脱したように感じ始めていた。そこで起きたウクライナでの戦争は新型コロナの章を閉じることに明らかに貢献した」と指摘した。
フランスとイタリアのデータによると、2月半ば以降にワクチン接種が減少している。同時にグーグルでの新型コロナの検索は両国でパンデミック開始以来最低の水準に達した一方、ウクライナの検索が急増した。
米疾病対策センター(CDC)のデータによると、米国でのワクチン接種率も急落している。2月25日までの1週間の初回接種と追加接種(ブースター)を合計した接種率は、20年12月のワクチン接種キャンペーン開始以降で最低を記録した。