[上海 28日 ロイター] - 中国の金融ハブ、上海市で27日に確認された新型コロナウイルス新規感染者は、無症状者が3450人と過去最多を更新し、症状のある人は50人となった。市当局が28日明らかにした。
上海は27日、同市を流れる黄浦江に概ね沿って市内を2地区に分け、順番にロックダウン(都市封鎖)と住民のPCR検査を行うと発表。
2600万人の市民を対象とした計9日間の封鎖は28日に始まり、橋やトンネルが封鎖されたほか、高速道路の通行が制限されている。
市当局は先週、ロックダウンのうわさを否定し、感染拡大を防ぐため地域ごとのアプローチを模索する考えを示していた。
上海市のコロナ専門家チームのメンバー、呉凡氏は28日の記者会見で、市全域で「大規模」な感染が起きていることが最近の集団検査で判明したため、より強力な措置を打ち出したと説明。隠れたリスクが完全に排除されるまで検査を続けると述べた。
上海の公安局は、市東部の橋やトンネル、高速道路の料金所を4月1日まで閉鎖すると発表。黄浦江の西側では4月1─5日に同様の措置が取られる。
公安局は市内外を結ぶ道路で交通規制を行う方針も示し、市外に出る場合は48時間以内に受けた核酸検査の陰性証明が必要になるとした。
市内の複数の病院は、集団検査に職員や設備を提供するため、診療を停止した。
米電気自動車(EV)大手テスラは、上海工場の生産を4日間停止する。事情に詳しい関係者2人が明らかにした。同社の工場は第1段階のロックダウンの対象区域にある。
一方、中国の半導体メーカー、中芯国際集成電路製造(SMIC)は、上海工場は通常通り操業していると明らかにした。
国家衛生健康委員会によると、中国本土で27日に確認された無症状の新規感染者は5134人、症状のある感染者は1219人だった。無症状者の7割近くを上海が占めた。
野村のアナリストは26日のリポートで、コロナ感染状況の悪化を理由に、中国の第2、第3、第4・四半期の国内総生産(GDP)成長率予測をそれぞれ前年比3.4%、4.8%、4.9%とし、従来の3.8%、5.1%、5.1%から下方修正。特に第2・四半期の減速を警戒する必要があると指摘した。ただ、年間の成長率予測は4.3%に据え置いた。