[東京 29日 ロイター] - 日銀は29日、2022年度の金融機関に対する考査方針を発表し、主に地域金融機関について市場運用のリスク管理体制と、経営体力や期間収益対比でのリスク許容度を重点的に検証していくことを盛り込んだ。
低金利環境の持続で、金融機関は市場運用でリスクテイクを積極化してきたが、内外の金利が上昇する中、金融機関にはリスク管理の徹底が求められている。日銀は、流動性の低い外貨建て資産を積極的に運用している地域金融機関について、リスク管理体制を確認するとしている。
地域金融機関の経営効率化を促すための特別当座預金制度の下、日銀は地域経済支援や経営基盤強化の取り組みについても対話を深めていく。
市場運用のリスク管理に関連して、前年度は大手金融機関のプライムブローカレッジ業務で「相応の損失」の発生事例が見られた。22年度は同業務のリスク認識を重点検証する。
日銀は新型コロナウイルスの感染拡大による資金繰り支援に関連して、金融機関が債務者企業の財務や資金繰りの状況を的確に把握しているか、先行きの信用コストの見積もりなどについても点検していくとした。
また金融庁と共同で地域金融機関のサイバーセキュリティー体制のアンケート調査を実施し、体制強化を働きかけていく。気候変動対応についても、気候変動関連リスクの把握や情報開示などについて対話していくとした。
(和田崇彦)