[上海 30日 ロイター] - 中国国内で新規株式公開(IPO)手続きを停止する中国企業が相次いでいる。新型コロナウイルスの流行で資産査定や情報収集が難しくなっていることが背景だ。
推定で90億ドルの資金調達に支障が出ている。
過去1週間では、15社が上海証券取引所の「科創板(スター・マーケット)」への上場申請を停止。ほぼ全ての企業が新型コロナの影響を理由に挙げた。上海市は28日からロックダウン(都市封鎖)を開始している。
今月、大規模な新型コロナ検査を3回にわたって実施した深センでは、67社がIPOの申請手続きを停止。規制当局への情報開示内容を更新する必要が生じたことが理由だった。
証券時報によると、手続きが停止された資金調達は推定600億元(94億3000万ドル)に達する可能性がある。
上海証券取引所は、影響を最小限に抑えるため、特別感染対策実施期間中も資本市場の業務を継続する方針。科創板の上場予備軍の株式売却計画の審査を継続し、企業や引き受け会社とのオンラインでの連絡を強化すると27日に表明した。
しかし、IPOを目指す企業からは、財務情報の更新が必要となる時期にあたり、審査の一時停止を求める声が強まっている。
科創板への上場を計画する南京磁谷科技は「コロナ流行で、企業や中間業者はデューデリジェンスや当局からの問い合わせへの回答を規定期間内にできない」と述べた。同社は29日に上海取引所に審査中断を申請すると明らかにした。