[北京 27日 ロイター] - 中国の工業部門企業の3月の利益は、新型コロナウイルスの感染拡大やウクライナ危機にもかかわらず伸びが加速した。
3月の利益は、中国国家統計局が27日発表したデータに基づくロイターの算出で前年比12.2%増加と、5カ月ぶりの高い伸びを記録。1─2月は同5%増だった。
中信証券の馬漢平氏は、鉱業部門の利益率拡大が全体の伸びに寄与したほか、減税が上流と下流の企業間の利益格差の縮小につながったと指摘。
鉱業部門の利益率は第1・四半期に24.53%と、2019年2月以来の高水準を付けた。
ただ、馬氏によると、コロナ感染拡大による一部産業の需要や物流部門への影響は3月の統計に完全に反映されていない。長期的に海外市場に輸出受注を奪われる可能性があり、生産者物価の伸びも鈍化しているため、工業部門利益は下押し圧力にさらされていると分析した。
1─3月の工業部門利益の前年比伸び率は8.5%で、前年同期を3.8%ポイント下回った。
統計局の朱虹氏は、輸入インフレの強まりと国内のコロナ感染拡大が工業部門に課題をもたらし、生産と事業活動の困難さが増したと指摘した。
国内各都市で厳格な感染対策が取られていることを背景に、3月は消費や輸出、不動産販売が減速した。アナリストは生産や物流などへの影響を踏まえ、4月に貿易の見通しが悪化していると指摘する。
ロシアのウクライナ侵攻をはじめとする地政学リスクは世界の供給網への懸念材料だ。コモディティー(商品)市場が不安定化し、製造業の状況をさらに厳しくしている。
工業部門企業利益統計は、主要事業の年間売上高が2000万元を超える大企業が対象。