[上海 1日 ロイター] - 中国上海市は6月1日午前0時、2カ月に及んだ新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)を解除した。2500万人の市民のほとんどが、自由な外出や職場復帰、公共交通機関の利用、自動車の運転などができるようになった。
深夜に旧フランス租界に集まったグループは、口笛を吹いて「ロックダウン解除」と叫び、シャンパンのグラスを合わせた。
上海ディズニーランドはまだ再開日時を発表していないが、「ロックダウン解除を祝う」ため、ライトショーをライブストリーミング配信した。
低リスク地域に住む約2250万人については、ロックダウンは解除された。ただし、公共の場ではマスクを着用し、人の集まる場所を避けなければならない。レストランでの食事は依然として禁止され、商業施設の収容人員は上限の75%程度に規制されている。スポーツジムはまだ再開されていない。
公共交通機関の利用などには72時間ごとに検査を受ける必要がある。これは中国の多くの都市で「新常態」となるかも知れないという。陽性と判定された人や濃厚接触者には厳しい隔離措置が課せられる。
<先行きに期待と不安が交錯>
ロックダウンで上海の製造業と輸出部門は大きな痛手を負い、中国国内外で供給網の混乱や貿易の鈍化を招いた。企業はロックダウン解除後の見通しについて不安と期待の両方を抱えている。
財新/マークイットが1日発表した5月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は前月から業況悪化の度合いが緩んだが、コロナ流行初期の2020年2月以降で2番目に低い水準にとどまった。
アナリストの多くは中国が第2・四半期にマイナス成長に陥ると予想する。その後の景気回復もコロナの状況次第で一筋縄ではいかず、消費者と企業の信頼感はすぐに戻らないと見込む。
ただ、ロックダウン解除を受けて市民は再開したばかりの小売店を訪れて野菜や果物を購入するなど、消費意欲が一部で健在だった。ロックダウン中は必需品の調達は共同購入グループに頼る必要があり、果物や野菜は手に入れるのが難しかった。
上海市政府は住民への「感謝状」を公表し、市民の「支持と献身」に謝意を表明した。医療従事者や警察、報道陣などの貢献にも言及した。
この2カ月間、上海では多くの市民が十分な食料と医療の確保に奔走した。家族は引き離され、数十万人が集中隔離施設に強制的に収容された。コロナ感染を徹底的に抑え込む中国の「ゼロコロナ」政策は持続可能ではないという批判も聞かれた。
31日には、5万床を擁する市内最大の隔離施設、全国展示コンベンションセンターが、収容されていた感染者17万4308人の最後の2人を退院させ、閉鎖を宣言した。
*動画を追加して再送します。