[ロンドン 25日 ロイター] - 英国など35カ国で報告されている原因不明の子どもの急性肝炎について、英グラスゴー大学とロンドンのグレート・オーモンド・ストリート病院の別々の研究が、「アデノ随伴ウイルス2」と呼ばれる子どもには珍しくないウイルスに関係している可能性を示唆した。研究はいずれも査読に先立ちオンラインで公表された。
これまでは、やはり子どもの風邪でよく見られる「アデノウイルス」との関連が指摘されてきた。しかし、今回の2つの研究とも、英国の症例サンプルでアデノ随伴ウイルス2が96%の確率で見つかったと報告した。
アデノ随伴ウイルスはこれまで肝炎の原因になると見られたことはなかった。同ウイルスはアデノウイルスなどの助けを借りないと複製できない特徴がある。今回の研究が、子どもたちのアデノ随伴ウイルス2そのものへの感染を示すのか、以前にアデノウイルスに感染していたことに不随する事象なのかは不明という。
ただ研究者としては、アデノウイルスとアデノ随伴ウイルス2の双方への感染か、あるいはアデノ随伴ウイルス2と、子どもにあまり一般的ではない「ヒトヘルペスウイルス6」(HHV6)の双方への感染という説明が、今回の肝炎に向いていると考えているという。
子どもの肝炎は今年4月から報告され始め、世界保健機関(WHO)によると、これまでに世界で少なくとも1010人が確認された。46人に肝臓移植が必要になり、22人が死亡した。
今回の2つの研究とも、新型コロナウイルスそのものとの関係は極めて考えにくいとした。コロナ感染のピークに子どもの肝炎の増加がつながっていないほか、子どもの肝臓に新型コロナウイルスが見つかった事例がないことなどが理由という。