[ロンドン 27日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)アジア太平洋局長のクリシュナ・スリニバーサン氏はロイターのインタビューで、中国はこれ以上経済に悪影響が生じるのを避けるため、新型コロナウイルスの感染対策については、徹底的な封じ込めの「ゼロコロナ政策」を見直す必要があると提言した。
スリニバーサン氏は中国のゼロコロナの施策について「多少柔軟化するという意味で若干の軌道修正をしてきたが、戦略自体が経済の足を引っ張りかねないとわれわれは感じている。これは解決しなければならない問題だ」と語った。
一方でスリニバーサン氏は、中国がメッセンジャーRNA(mRNA)のような「効果的なワクチン」を使用して、特に高齢者の接種率を引き上げていけば、さらなるロックダウン(都市封鎖)は回避できるのではないかとの考えを示した。
IMFは今週公表した世界経済見通しで、中国の今年の国内総生産(GDP)成長率予想を4.4%から3.3%に下方修正したが、その理由の一つがゼロコロナ政策だった。
IMFは中国の経済見通しについて、住宅価格上昇と家計の債務急増が不動産セクターの危機を助長している点にも懸念を表明している。
スリニバーサン氏は「不動産セクターの債務圧縮を目指す中国政府の意図は間違ってはいなかった。しかし経済の足かせにもなっている。多くの住宅開発プロジェクトの工事が完成していないので、今や多数の世帯がローンの支払いを拒んでいる状態だ」と指摘した。中国政府の不動産問題対応策を巡り、複数の消息筋は25日にロイターに、不動産開発会社の債務危機打開を支援する基金が設立され、最大で3000億元(440億ドル)が投入されると明らかにしている。
こうした動きについてスリニバーサン氏は、問題解決策の1つだと評価しつつも、支援規模としては不十分かもしれないと指摘。中国政府が持続可能かつ長期的な解決方法を検討するよう促した。