Tomo Uetake
[東京 25日 ロイター] - 明治安田生命保険は2023年度下期の一般勘定運用について、上期に続き、超長期国債を中心に円建て債券の残高を増やす計画を示した。ペース配分は平準買いを基本とするが、足元は「やや慎重」姿勢で臨んでおり、日銀の政策修正を受けて金利が上昇する局面を待って買いを加速する方針。 北村乾一郎・運用企画部長が25日、資産運用方針説明会で明らかにした。
このうち円金利資産の核となる円建て債券は、金利リスク削減に向けて、20年物と30年物を中心に超長期国債を積み増す。買いペースに緩急をつけない「平準買い」を基本としつつも、金利上昇局面をとらえて機動的に追加投資に動く計画だ。
北村氏は、上期は7月の日銀決定会合で決まった長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の運用柔軟化を受けた金利上昇時に、一時的に国債買い増しのペースを加速したが、「今はまだ政策修正前でこれよりも金利は上昇すると考えており、ここまではやや慎重な姿勢で取り組んでいる」と総括する。
日銀の金融政策見通しについては「YCCの修正やマイナス金利の解除について、いつ、など具体的に予想を立ててはいない」とした上で、「どちらにせよ金利は上昇するという一方向で投資スタンスを考えれば良い。金利が上がったら買いに動く」との考えを示した。
政策修正後にスタンスを変えるかどうかは、「1回修正があっても、将来もう一段の修正・金利上昇があるなら慎重姿勢継続だし、YCCを解除してしまうならまた別の話になる」と述べ、政策修正の内容次第だとしている。
外債のうち為替ヘッジ付きソブリン債は、ヘッジコストの高止まりを受けて新規投資を抑制しつつ、低利回り銘柄を売却して残高を圧縮する。一方、為替オープンのソブリン債は、為替や金利の水準次第だが、現時点では残高増加を見込む。
またヘッジ付きの海外クレジットは、自社のニューヨーク拠点での直接投資などの体制を強化し、インハウスでスプレッドの取れる米国クレジット資産を積み増す。
ドル/円のヘッジコスト(3カ月物の為替予約)について、同社は年度末時点で5.30%と、9月末実績の5.96%から「やや低下するが高止まりする」と想定している。
外国投信がメインとなる外国株式は、こちらも自社のニューヨーク拠点を活用し、インハウス運用で残高を増やす方針。
一方、国内株式については、中期計画で掲げた23年度までに簿価ベースで1500億円程度を売却する取り組みの一環で、残高は前年度に続き減少見込みだが、トータルリターンの向上につながる銘柄入れ替えも実施する。
このほか投資用不動産は、市況を見極めながら大都市圏を中心に優良物件を厳選して積み上げ、残高を増やす計画。
明治安田生命の一般勘定の資産残高は、3月末時点で43兆6718億円。うち外貨建て資産は13兆2404億円(30.3%)。
2023年度下期の相場見通し(レンジと年度末中央値)は以下の通り。
日本国債10年物利回り 0.70―1.00%(0.75%)
米10年国債利回り 3.10―3.95%(3.50%)
日経平均株価 2万9000―3万3000円(3万1000円)
NYダウ 2万9500─3万4500ドル(3万2000ドル)
ドル/円 125―135円(130円)
ユーロ/円 146―155円(150円)
(植竹知子)