[ムンバイ 1日 ロイター] - インドで5月31日に発表された2022年度(22年4月―23年3月)国内総生産(GDP)を見ると、さえない消費を穴埋めする形で投資が急増したことが分かる。折しも政府は大規模な投資計画を推進しており、今年度も投資が経済をけん引するだろう、というのがエコノミストの見立てだ。
これらの投資は、雇用を創出して最終的に消費需要を喚起する経済への「乗数効果」を持つ建設などのセクターに好影響を及ぼす可能性があると期待されている。
ステート・バンク・オブ・インディアのチーフエコノミスト、ソウミャ・カンティ・ゴーシュ氏は「投資需要は堅調さを保つ唯一の項目だ」と指摘した。
投資を意味する総固定資本形成は1―3月に8.9%、22年度全体では11.4%も伸びた。
JPモルガンのチーフ・インド・エコノミスト、サジード・チノイ氏は、中央政府による投資促進の取り組みは「衰え知らず」だと述べ、昨年1―3月に支出が低調だった州も今年1―3月は24%増えたと説明した。
これは過去10年にわたってバランスシート調整を強いられ、投資が抑えられてきたインドにとって重大な局面転換と言える。
ICICIセキュリティーズのエコノミストチームは、これまでは政府投資が上向いてきたが、23年度中には民間投資がある程度呼び込む流れになる公算が大きいとみている。
JPモルガンのチノイ氏は、建設セクターは以前からの設備投資が効果を発揮して新型コロナウイルスのパンデミック以前の規模に近づいていると分析する。同セクターは1―3月に10.4%、22年度全体では10%余り成長した。
クオントエコ・リサーチのエコノミストは、建設セクターは農村の余剰労働力を間接的に吸収する役割があり、中期的には経済全体に乗数効果をもたらしてくれるとの見方を示した。