*12:02JST CAICAD Research Memo(2):金融機関向けシステム開発やブロックチェーン技術に強み
■事業概要
CAICA DIGITAL (TYO:2315)は、金融業界向けを主としたシステム開発や暗号資産に関するシステム開発等を行う「ITサービス事業」及び、金融商品取引法に基づく第一種金融商品取引業、暗号資産に関する金融商品の開発・販売、暗号資産交換所運営等を手掛ける「金融サービス事業」の両輪で事業を展開している。
高い信頼性や処理能力などが求められる金融業界向けのシステム開発を中心として、長年にわたって蓄積してきた高度な技術やノウハウなどに強みがあり、同社グループ全技術者(約400 名)がブロックチェーン技術者となる計画を実行しているところも特長的である。
ブロックチェーン技術を活用したFinTech分野を戦略的注力分野に位置付けており、とりわけ暗号資産交換所向けのシステム開発や暗号資産関連の新商品の開発・販売など、暗号資産関連ビジネスに取り組むとともに、様々な分野で将来性が期待されているNFT分野、さらにはWeb3を活用した事業拡大を進めている。
また、暗号資産交換所「Zaif」を運営するカイカエクスチェンジとシステム開発会社である(株)CAICAテクノロジーズを自社グループ内に抱える、ほかに例を見ないユニークな事業基盤を生かすことで、金融とITをシームレスに統合したこれまでにないタイプの事業モデルの構築(金融プラットフォーマー構想)にも取り組む方向性である。
各事業の概要は以下のとおりである。
(1) ITサービス事業
創業来の主力事業であり、50年以上の実績を誇るCAICAテクノロジーズにより、銀行・証券・保険といった金融機関向けシステム開発(コンサルティングや保守・運用を含む)をはじめ、流通・小売業、情報通信業等、多様な業種でシステム構築を手掛けている。
特に、金融業界向けのシステム開発が70%程度を占め、同社グループの強みの源泉となっている。
大手SIerからコアパートナーの認定を受け、大手SIerを通じた受注(二次請け)が中心であるものの、基幹システムを担っている金融機関向けは継続率が高く、事業基盤は安定している。
また、大企業からの一次請け受注も増加しており、安定性はさらに増している。
一方、暗号資産関連のシステム開発については、同社グループ内の暗号資産交換所「Zaif」のシステムインテグレーションを担うとともに、ほかの暗号資産交換所システムも手掛け、新規案件の引き合いも増えているようだ。
また、テレワークの広がりを受け、「セキュリティ・コンサルティング・サービス」※の提供も開始し、自社ブランド製品の販売比率向上にも取り組んでいる。
さらには、エンドユーザーのセキュリティリテラシーを向上させる「CAICA Security Training/標的型メール訓練サービス」や、Web3事業に参入する企業を支援する、セミオーダー型NFTマーケットプレイス開発サービスの販売も開始した。
※現行のテレワーク環境の脆弱性診断や、課題の顕在化、課題対応方法の提案など、テレワークに関するあらゆるセキュリティ課題をサポートするサービス。
(2) 金融サービス事業
2018年2月に連結子会社となったカイカ証券(金融商品取引法に基づく第一種金融商品取引業)を中心に金融商品の企画・開発・組成・販売等を手掛けており、特に暗号資産関連商品の開発・販売に注力してきた。
また、2021年3月には暗号資産交換所「Zaif」を擁するカイカエクスチェンジホールディングスを連結子会社とし、暗号資産関連ビジネスの拡大に向けて体制を整えた。
カイカエクスチェンジグループは、主に暗号資産交換所「Zaif」における受入手数料や暗号資産売買の損益のほか、(株)カイカキャピタルによる暗号資産の自己勘定による運用益によって成り立っている。
カイカ証券については、これまで独自のワラント商品のほかに、暗号資産関連商品の開発・提供も手掛けてきた。
ただ、暗号資産市場の混乱による影響を受け、デリバティブ派生商品に対する投資家の意欲の衰退などもあり、予定していた商品の拡充が進まず、また業績も伸び悩んでいることから、サービスメニューの抜本的な見直し※と、大幅なコスト削減を含む構造改革に踏み切った。
今後は、新規投資やコストを極力かけない運営形態により、グループシナジーを活用した富裕層向けプライベートバンキング事業への参入などを検討しているようだ。
※これまで展開してきたカバードワラント及び暗号資産に関する商品の新規の発行すべてを停止した。
一方、暗号資産交換所「Zaif」を運営するカイカエクスチェンジについては、暗号資産市場の不安定な状況を踏まえ、市場環境に影響されにくいストック型収益の拡大に注力している。
なかでも、「自動売買おてがるトレード」が好調であり、利用者が増加してきた。
また、「Zaif コイン積立」のリニューアル及び対象コインの追加、暗号資産の大口取引需要に対応するための専用の窓口「クリプトOTCデスク」の設置など、商品ラインナップの充実に取り組む一方、固定費削減に向けてサービスの選択と集中も図っている※。
暗号資産市場の低迷による影響を受け、足元業績は低調に推移しているが、今後の成長軸であるWeb3事業を展開していくうえで「Zaif」は重要な役割を担っており、戦略的な位置付けに変化はない。
※その一環として、2023年7月には「暗号資産FX」のサービスを廃止した。
また、新たに開始する暗号資産についてもGameFi領域に特化するなど、選択と集中により他社との差別化を図っていく方針。
また、2022年11月からはブロックチェーンゲーム専門のNFTマーケットプレイス「Zaif INO」(カイカフィナンシャルホールディングスが運営)を立ち上げると、Web3企業とのコラボレーションによりNFT販売を開始した。
NFTの販売高に応じた販売手数料を収益源とし、既に10回のNFT販売実績を積み上げてきたが、本格的な業績寄与には時間を要する見通しである(2023年6月時点)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
CAICA DIGITAL (TYO:2315)は、金融業界向けを主としたシステム開発や暗号資産に関するシステム開発等を行う「ITサービス事業」及び、金融商品取引法に基づく第一種金融商品取引業、暗号資産に関する金融商品の開発・販売、暗号資産交換所運営等を手掛ける「金融サービス事業」の両輪で事業を展開している。
高い信頼性や処理能力などが求められる金融業界向けのシステム開発を中心として、長年にわたって蓄積してきた高度な技術やノウハウなどに強みがあり、同社グループ全技術者(約400 名)がブロックチェーン技術者となる計画を実行しているところも特長的である。
ブロックチェーン技術を活用したFinTech分野を戦略的注力分野に位置付けており、とりわけ暗号資産交換所向けのシステム開発や暗号資産関連の新商品の開発・販売など、暗号資産関連ビジネスに取り組むとともに、様々な分野で将来性が期待されているNFT分野、さらにはWeb3を活用した事業拡大を進めている。
また、暗号資産交換所「Zaif」を運営するカイカエクスチェンジとシステム開発会社である(株)CAICAテクノロジーズを自社グループ内に抱える、ほかに例を見ないユニークな事業基盤を生かすことで、金融とITをシームレスに統合したこれまでにないタイプの事業モデルの構築(金融プラットフォーマー構想)にも取り組む方向性である。
各事業の概要は以下のとおりである。
(1) ITサービス事業
創業来の主力事業であり、50年以上の実績を誇るCAICAテクノロジーズにより、銀行・証券・保険といった金融機関向けシステム開発(コンサルティングや保守・運用を含む)をはじめ、流通・小売業、情報通信業等、多様な業種でシステム構築を手掛けている。
特に、金融業界向けのシステム開発が70%程度を占め、同社グループの強みの源泉となっている。
大手SIerからコアパートナーの認定を受け、大手SIerを通じた受注(二次請け)が中心であるものの、基幹システムを担っている金融機関向けは継続率が高く、事業基盤は安定している。
また、大企業からの一次請け受注も増加しており、安定性はさらに増している。
一方、暗号資産関連のシステム開発については、同社グループ内の暗号資産交換所「Zaif」のシステムインテグレーションを担うとともに、ほかの暗号資産交換所システムも手掛け、新規案件の引き合いも増えているようだ。
また、テレワークの広がりを受け、「セキュリティ・コンサルティング・サービス」※の提供も開始し、自社ブランド製品の販売比率向上にも取り組んでいる。
さらには、エンドユーザーのセキュリティリテラシーを向上させる「CAICA Security Training/標的型メール訓練サービス」や、Web3事業に参入する企業を支援する、セミオーダー型NFTマーケットプレイス開発サービスの販売も開始した。
※現行のテレワーク環境の脆弱性診断や、課題の顕在化、課題対応方法の提案など、テレワークに関するあらゆるセキュリティ課題をサポートするサービス。
(2) 金融サービス事業
2018年2月に連結子会社となったカイカ証券(金融商品取引法に基づく第一種金融商品取引業)を中心に金融商品の企画・開発・組成・販売等を手掛けており、特に暗号資産関連商品の開発・販売に注力してきた。
また、2021年3月には暗号資産交換所「Zaif」を擁するカイカエクスチェンジホールディングスを連結子会社とし、暗号資産関連ビジネスの拡大に向けて体制を整えた。
カイカエクスチェンジグループは、主に暗号資産交換所「Zaif」における受入手数料や暗号資産売買の損益のほか、(株)カイカキャピタルによる暗号資産の自己勘定による運用益によって成り立っている。
カイカ証券については、これまで独自のワラント商品のほかに、暗号資産関連商品の開発・提供も手掛けてきた。
ただ、暗号資産市場の混乱による影響を受け、デリバティブ派生商品に対する投資家の意欲の衰退などもあり、予定していた商品の拡充が進まず、また業績も伸び悩んでいることから、サービスメニューの抜本的な見直し※と、大幅なコスト削減を含む構造改革に踏み切った。
今後は、新規投資やコストを極力かけない運営形態により、グループシナジーを活用した富裕層向けプライベートバンキング事業への参入などを検討しているようだ。
※これまで展開してきたカバードワラント及び暗号資産に関する商品の新規の発行すべてを停止した。
一方、暗号資産交換所「Zaif」を運営するカイカエクスチェンジについては、暗号資産市場の不安定な状況を踏まえ、市場環境に影響されにくいストック型収益の拡大に注力している。
なかでも、「自動売買おてがるトレード」が好調であり、利用者が増加してきた。
また、「Zaif コイン積立」のリニューアル及び対象コインの追加、暗号資産の大口取引需要に対応するための専用の窓口「クリプトOTCデスク」の設置など、商品ラインナップの充実に取り組む一方、固定費削減に向けてサービスの選択と集中も図っている※。
暗号資産市場の低迷による影響を受け、足元業績は低調に推移しているが、今後の成長軸であるWeb3事業を展開していくうえで「Zaif」は重要な役割を担っており、戦略的な位置付けに変化はない。
※その一環として、2023年7月には「暗号資産FX」のサービスを廃止した。
また、新たに開始する暗号資産についてもGameFi領域に特化するなど、選択と集中により他社との差別化を図っていく方針。
また、2022年11月からはブロックチェーンゲーム専門のNFTマーケットプレイス「Zaif INO」(カイカフィナンシャルホールディングスが運営)を立ち上げると、Web3企業とのコラボレーションによりNFT販売を開始した。
NFTの販売高に応じた販売手数料を収益源とし、既に10回のNFT販売実績を積み上げてきたが、本格的な業績寄与には時間を要する見通しである(2023年6月時点)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)