景気減速への懸念がある中、米国経済の状態を確認したい投資家にとって今週最大の注目は米国雇用統計となる。これに次いで重要なのが、小売売上高とISM製造業景況感指数だろう。
2007年以来初めて 3ヶ月債が 10年債の利回りを上回るという景気後退のサインが出ている中、これら経済指標への注目度が増している。
一方、劉中国副首相とライトハイザー通商代表部代表、ムニューシン米財務長官がワシントンで米中貿易協議を再開するが、こちらも今週の重要なイベントだ。
その他、メイ英首相が議会でブレグジット協定案を成立させるのに行き詰まっており、英国から出てくるニュースにも注意が必要だ。
Investing.comでは今週市場に最も影響を与える可能性が高い5つを挙げてみた。
1. 米雇用統計
労働省は、金曜日の午後9時30分に3月の非農業部門雇用者数を発表予定だ。コンセンサス予想では2月の2万より上昇して、 17万5,000となっている。
失業率は 3.8%で、前月と変わらないと見られている。
しかし、最も注目されるのは平均時給であり、2月同様に3月も前年比 3.4% になると予想されている。
2. 米小売売上高
商務省は月曜日の午後9時30分に、2月の小売売上高を発表予定だ。
12月の-1.6%という衝撃的な減少と1月の0.2%に続いて、2月の小売売上高は 0.3%になると予想されている。
自動車部門を除くコア小売売上高は1月の0.9%の後、 0.4%と見込まれている。
小売売上高の増加は経済成長の強さを示すが、減少は悪化を示す。消費支出は米国の経済成長の70%を占めており、その動向は極めて注目度が高い。
3. ISM製造業景況感指数
米供給管理協会(ISM)は月曜日の午後11時に3月の製造業に関する景況感指数を発表予定だ。エコノミストは前月と変わらない 54.2と予想している。50.0を超えれば景気拡大を示し、50.0未満ならば縮小を示す。
今週予定されているその他の経済指標では、耐久財受注、ADP(NASDAQ: ADP)の非農業部門雇用者数、ISMサービス部門景況感指数がある。
最近の経済指標は第4四半期の経済成長が鈍化した後、経済が勢いを失いつつあるという懸念を高まらせている。
4. 米中貿易協議
劉中国副首相は、世界の2大経済圏の数ヶ月にわたる貿易戦争を終結させるために、ワシントンでライトハイザー通商代表部代表とムニューシン財務長官との協議に臨む。
米国と中国は、先週北京で行われた貿易協議で進展があったと述べ、米国は「率直で建設的」だったと付け加えた。
中国の新華社通信は、双方が「関連する合意文書」について議論し、新たな進展があったと報じたが、詳細は伝えていない。
ロイター通信はこれまで、両国が強制技術移転とサイバー攻撃、知的財産権、サービス、通貨、農業、貿易に対する非関税障壁の6分野で協定を交渉していると報じた。
5. ブレグジットの行き詰まり
たとえダメージの大きな合意なきブレグジットになるとしても、今後数カ月内の英国の離脱を保守党議員からメイ英首相は強く求められている 。
保守党議員たちは、金曜日にブレグジット協定が下院で3度目の否決となった後に送られた書簡の中で、ブレグジットの長期延期に反対するようメイ首相に促したと述べた。
月曜日に議員たちは再び「示唆的投票」を行い、メイ首相のブレグジット協定案に代わる案を探る予定だ。これまで最も支持を集めてきた選択肢は、関税同盟への残留と2回目の国民投票だ。
他の27カ国のEU諸国に対して、メイ首相が行き詰まりを解決できると納得させるための時間は2週間を切っている。それができなければEUに長期の延期を要請するか、経済的打撃を和らげる合意なしで4月12日に英国をEUから離脱させなければならない。