ドナルド・トランプ米大統領が中国に対する追加関税を示唆し、それに対し中国が報復を仄めかしたことにより、今週の市場では米中貿易戦争に対する懸念が高まっている。
1.緊張高まる米中貿易戦争
1日、トランプ氏は唐突に、3000億ドル相当の中国からの輸入品に対し10%の追加関税を課すことを表明し、1ヵ月続いた米中間の休戦状態は崩された。これに対し投資家は敏感に反応し、世界の株式、商品市場は下落した。また中国は2日、今回の米国の措置に対し反撃を行うことを示唆している。
中国は今週、消費者物価指数と貿易収支の発表を控えており、同国の経済の健全性が注目されるだろう。
8日発表予定の7月貿易統計では、輸出が2.2%の下落、輸入が7.6%の下落となると予想されている。
2.各国の中央銀行
ノルウェー、ニュージーランド、オーストラリア、インド、フィリピン、タイの6ヶ国はいずれも金利を決定する会合を今週中に開く予定だ。約10年ぶりとなったFRBの利下げを受け、各国がどのような動きを取るのか投資家は注目している。
ニュージーランドは現在の1.50%の金利をさらに25ベーシスポイント引き下げると予想されており、またオーストラリアは3連続となる利下げにより金利を1%にまで引き下げるのではないかという憶測も存在する。
またインドも減速する経済成長を受け、今年4度目となる利下げを行うと予想されている。一方タイでは金利を据え置くと見込まれており、このことに市場は懸念を抱いている。
ノルウェーは例外的な動きを取っている。目下のところ問題となっているのは、9月の利上げを決定するか否かだ。同国では何ヶ月もこの問題について議論してきたが、遂にその論争も決着するかもしれない。その場合、中央銀行はその方針を明らかにする必要があるだろう。
3.FRB声明
セントルイス連銀のジェームズ・ブラード総裁は6日、経済や金融政策についての声明を発表する予定だ。また7日にはシカゴ連銀のチャールズ・エバンス総裁も声明を発表する。
米国の経済指標は非常に堅調に推移している。しかし5日発表されるISM非製造業購買担当者景気指数(PMI)が、製造業における減速の影響を受けるのかについて、投資家は注視している。
4.欧州経済指標
ユーロ圏は今週、注目の経済指標が目白押しだ。5日には7月サービス業PMIが発表され、7日にはドイツ鉱工業生産が発表される。
また9日には英国で第2四半期の国内総生産が発表される。同指標は前期比0.1%増、前年同期比1.4%増となる見込みだ。一方で鉱工業生産は、製造業と同様、縮小すると予想されている。
また5日、英国サービス業PMIが発表されるが、予想では50.4に上昇する見込みだ。
5.決算シーズンはピークを超える
決済シーズンはピークを超え、今週の決算報告はS&P 500が62社となる予定だ。
動画ストリーミング市場では、ネットフリックス (NASDAQ:NFLX)一強の状況が崩れつつあり、新たな対抗馬として現れたウォルト・ディズニー (NYSE:DIS)、CBS ブロードキャスティング (NYSE:CBS)、バイアコム (NASDAQ:VIAB)の決算報告に注目が集まっている。その結果として、いわゆる通信サービスセクターにおいてボラティリティが高まる可能性がある。
8日に発表される中国の貿易収支では、貿易戦争による経済への影響が出ていないかが注視されるだろう。またFRBの利下げを受け、今後各中央銀行がどのような方針をとるのかということにも投資家の関心が向けられるだろう。FRBの声明もまた、これからの金融政策の予想をする材料となるため、注目を集めることとなるだろう。その他経済指標についても、注目を集めるものは多い。
以下が今週注目のトピックだ。