[パリ 18日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのビルロワドガロー仏中銀総裁は18日、ユーロ圏加盟国間の国債利回り格差が最近、急拡大したのを受け、ECBはユーロ圏金融市場の分断を阻止する決意だと表明した。
ユーロ圏債券市場ではここ数日、投資家のリスク回避姿勢を反映し、公的債務の水準が高いイタリアなどの加盟国の利回りが急騰し、財政が安定しているドイツなどの諸国との格差が広がった。
ビルロワドガロー総裁は、仏経済紙レゼコーとのインタビューで「われわれはユーロ圏加盟国間の分断リスクや長期資金市場の劇的緊張に対抗する確固たる決意がある」と強調した。
同日のユーロ圏債券市場では、ECBがイタリア国債を大量に買い入れる案について欧州連合(EU)幹部が協議しているとの報道を受けて、イタリア国債利回りは低下に転じた。
ECBのシュナーベル専務理事は、新型コロナウイルス感染拡大を受けた市場の混乱に対応し、ECBは「何でもする」と述べ、迅速に行動する姿勢を強調した。
ビルロワドガロー総裁は、ECBの国債買い入れについて、必要ならば一定期間、特定の国々の国債を他国よりも多く買い入れる用意があると説明した。
総裁はまた、最近の株暴落について、株式市場を閉鎖する必要はないと述べ、ECBはどちらにしても、債券市場の機能保全と流動性確保に重点を置いているとした。
社債の新規発行がほぼ停止状態となるなか、ECBは米連邦準備理事会(FRB)と同様に、コマーシャルペーパー(CP)市場に介入することが可能だと指摘。
「市場には、ECBが迅速に取り組みを加速すべき分野があり、それは企業の短期資金調達のためのCP市場で、そこでは十分な流動性が確保されていない」と語った。
FRBは17日、新型コロナウイルス危機によるクレジット市場の緊張緩和に向け、2008年の金融危機時に採用したCP市場への流動性供給策を再び導入すると発表した。