[ワシントン 20日 ロイター] - 全米リアルター協会(NAR)が20日に発表した2月の米中古住宅販売戸数(季節調整済み)は年率換算で前月比6.5%増の577万戸と、2007年2月以来の高水準を付けた。
ただ、新型コロナウイルスのパンデミック (世界的流行)によって解雇が増えているほか、米経済は景気後退の危機にひんしており、住宅市場の回復が狂うとみられる。市場予想は0.7%増の550万戸だった。
2月の米中古住宅販売戸数は、新型ウイルスが米経済活動に深刻な打撃を与える前の1月と2月上旬の契約数を反映している。
2月の前年同月比は7.2%増だった。中古住宅販売は住宅市場全体の約90%を占める。
19日に発表された3月14日終了週の新規失業保険申請件数は、娯楽や宿泊、輸送産業で解雇が増える中で2年半ぶりの高水準を付けた。
MUFGのチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「これは史上最も速いペースのリセッション(景気後退)で、経済の全セクターをのみ込むだろう。回復している住宅セクターさえもだ」と述べた。
エコノミストは米経済が第2・四半期までに景気後退入りするとみている。一部は景気低迷が既に始まっていると指摘する。住宅市場は18年第1・四半期から19年第2・四半期まで弱含んだ後、住宅ローン金利の低下に伴い回復していた。
2月の地域別の内訳は、中西部と人口の多い南部、最も住宅価格が高い西部で増えた。一方北東部は減った。
住宅在庫は前年同月比で9.8%減の147万戸だった。販売価格中央値は前年同月比8.0%増の27万100ドルだった。
2月の販売ペースに基づく在庫の消化期間は3.1カ月。昨年2月の3.6カ月から減った。健全な需給バランスには6ー7カ月が適切とされている。
NARは新型コロナが「間違いなく買い手の動きを鈍らせている」としながらも、 米連邦準備理事会(FRB)や米政府が導入した積極的な景気刺激策が住宅市場を支援することに期待を示した。
ブリーン・キャピタルのシニア経済アドバイザー、コンラッド・デクアドロス氏は「購入者の動きは先週末から止まっていると予想する。現時点で販売をまとめるのは極めて難しい」と述べた。
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