[ワシントン 18日 ロイター] - 米労働省が18日に発表した3月13日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は77万件と、前週の72万5000件から予想に反して悪化した。ただ、新型コロナウイルスのワクチン接種が加速する中で経済活動が再開しており、労働市場は勢いを取り戻しているもようだ。市場予想は70万件だった。
4週間移動平均でならした申請件数は改善傾向が続き、74万6250件と前週から1万6000人減少した。これは4カ月ぶりの低水準となる。
PNCフィナンシャルのチーフエコノミスト、ガス・ファウチャー氏は「労働市場が年内大幅に改善する方向に向かっており、週ごとの数字にとらわれるべきでない」と指摘。JPモルガンのエコノミストであるダニエル・シルバー氏も、コロナ対策の進展で労働市場が回復するに伴い、失業保険申請も改善が続くと予想した。
統計は引き続き処理されていない申請や不正受給などの問題でひずみが生じている。このうちテキサス州では、先月の寒波で未処理の申請が積み上がる中、週間の申請件数が急増した。
初回給付以降も継続して失業保険を受け取った人は6日までの1週間で1万8000人減少し412万4000人。政府の失業支援プログラムによる受給者は2月27日までの1週間で64万人減少し約481万5000人。何らかの失業給付を受けた人は190万人減少し1820万人だった。
エコノミストは、今月新型コロナの感染拡大予防対策を解除したテキサス州とミシシッピ州の失業保険申請件数の動きを注視している。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は前日、「労働市場の状況は最近改善した」と表明。今年の経済が力強く伸びるとの見通しを示しながらも金利を向こう数年間、ゼロ近辺に維持すると強調した。
申請件数は2020年3月のピークである686万7000件から減ったものの、依然として07─09年の世界金融危機のピークである66万5000件を上回っている。景気支援策の一環である失業保険手当の上乗せによって今後も高止まりする可能性がある。健全な労働市場では申請件数が通常、20万─25万件にとどまる。
ハイ・フリークエンシー・エコノミクス(ニューヨーク)の米国担当チーフエコノミスト、ルビーラ・ファルーキ氏は「失業保険手当の拡大により、給料より政府支援の方が高くなる労働者にとっては職探しを阻害する要因となる」と指摘した上で「衛生状況が改善することで雇用は大幅に戻るだろう」と述べた。
今回の失業保険統計は3月の雇用統計と調査期間が重なる。2月の雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比37万9000人増えた。雇用は、新型コロナ危機が始まった20年3月前のピークを950万人下回っている。