[シドニー 28日 ロイター] - オーストラリア最大都市のシドニーで2週間のロックダウン(都市封鎖)が導入されたことについて、エコノミストの間では、国内総生産(GDP)を約20億豪ドル(15億米ドル)押し下げる公算が大きいとの見方が出ている。これは年間のGDPの約0.1%に相当する。
全国でワクチン接種が遅れていることも、大きな圧迫要因になる見通しという。
現在、同国でロックダウンや行動制限の対象になっているのは、人口の約70%に相当する1800万人前後。ワクチン接種は予想より遅れており、少なくとも1回のワクチンを接種した人は人口の約25%と、米国やシンガポールの50%以上、英国の66%を下回っている。
オックスフォード・エコノミクスのプリンシパル・エコノミスト、ショーン・ラングケーキ氏は「ワクチン接種が完了するまで、新型コロナ流行が引き続き下振れリスクの原因になることは明らかだ」と指摘。
モルガン・スタンレーとAMPは、2週間にわたるシドニーのロックダウンで年間GDPの約0.1%に相当する20億豪ドルの影響が出ると指摘した。
シドニーを州都とするニューサウスウェールズ州は、国内経済活動の約3分の1を占める。
AMPのチーフエコノミスト、シェーン・オリバー氏は、豪準備銀行(RBA)が来月の理事会で「相対的に慎重」になると予測した。
RBAは、来月6日の理事会で債券買い入れ計画などの大規模な改革を発表するとみられている。