[北京 15日 ロイター] - 中国国家統計局が15日発表した1─2月の鉱工業生産は前年同期比7.5%増加し、ロイター調査のアナリスト予想(3.9%増)を大きく上回った。2021年6月以来の高い伸び。昨年12月は前年比4.3%増だった。
同時に発表された1─2月の小売売上高は前年同期比6.7%増。こちらも予想の3.0%増を大きく上回った。21年6月以来の高い伸び。春節(旧正月)連休に消費需要が高まり、昨年12月の1.7%増から伸び幅が拡大した。
1─2月の固定資産投資も前年同期比12.2%増え、予想の5.0%増を上回った。
国家統計局の報道官は会見で、経済の前向きな変化が強まっていると指摘する一方で、足元の新型コロナウイルス感染拡大を注視する必要があると述べた。
国内の一部で感染が拡大しているが、第1・四半期の経済は比較的良好な状態を維持するとの見方を示した。
ただ、市場関係者の間では、新型コロナウイルスの感染拡大、不動産市場の低迷、世界経済の視界不良が経済見通しの重しになるとの指摘が出ている。
江海証券のチーフエコノミストは「今年初めに導入された政策が効果を発揮し、全てのデータが回復している。ケータリングへの支出も依然として比較的好調だ」と指摘。
中原銀行のチーフエコノミストは「1─2月のデータは予想外に好調だったが、だまされてはいけない。依然として、できる限り早期の利下げと預金準備率の引き下げが必要だ」と述べた。
国家統計局の報道官は、北京冬季五輪関連の売り上げが1─2月の小売売上高を押し上げたと指摘。スキー用品などの売り上げが伸びたという。固定資産投資の増加については、インフラ事業の加速が背景だと分析した。1─2月のインフラ投資は8.1%増加した。
中国の1─2月の不動産投資は、業界の流動性危機を緩和するため規制が緩和されたことを背景に前年比で増加に転じた。ただ販売などは引き続き減少した。
国家統計局の報道官は「土地価格、住宅価格、予想は引き続き安定している。不動産市場に前向きな変化が見られる」と指摘。
ゴールドマン・サックスはリポートで「多数の省で新型コロナが再流行しており、経済活動の足をさらに引っ張る要因となっている。地方政府は不動産政策を緩和したが、新規着工や土地売却など、不動産指標は一段と悪化している。今年の経済成長率を5.5%前後とする厳しい目標を達成するには、追加の政策緩和が必要だ」と述べた。
全国の調査ベースの2月の失業率は5.5%で、1月の5.3%から上昇したが、国家統計局の報道官は主に季節要因によるもので、3月以降は低下する可能性があるとの見方を示した。