[ローマ 26日 ロイター] - イタリア初の女性首相に就任すると目されている右派政党「イタリアの同胞」(FDI)のメローニ党首は、実際に就任すれば早々に、選挙公約で来年1月から始まることになっている国の年金受給年齢引き上げを阻止するなどと訴えたことの実現に向け、多額の財源確保に追われることになる。
初議会招集や新首相指名手続きなどに時間がかかるため、新政権の実質的な発足は少なくとも今から1か月後になる。消息筋によると、その間に、例えば今週ドラギ首相が発表する経済見通しは一段と悪化を示す内容になる見込みだ。
FDIと連合を組む右派「同盟」のサルビーニ元副首相は記者団に対し、エネルギー危機が「新政権の最初の試練」になると語った。
ドラギ氏は既にエネルギー集約型企業や低所得世帯を支援する減税や補助金措置として今年660億ユーロ(636億3000万ドル)を確保したが、この措置は11月に期限が失効する。財務省当局者によると、同措置をさらに1か月延長するだけでも47億ユーロが発生することになる。ただ、エネルギー価格上昇で政府の関連税収入は増えるため、メローニ氏が政府借り入れの拡大を回避できる可能性はあるという。
もっともユーロ圏全体で企業活動は急速に弱くなっており、メローニ氏が来年も同様の措置を承認する必要に迫られる可能性は高い。この点について、重要な閣僚ポストを狙うメローニ氏側近はロイターに対し、新政権は今年で失効する労働者向け減税措置を来年に延長する計画で、追加予算で35億ユーロが見込まれると語った。
2011年の年金改革で、現在暫定的に64歳となっている年金受給年齢は来年1月からいよいよ67歳に引き上げられる。サルビーニ氏はこの年金改革の廃止を望んでいる。
引き上げが取りやめになると、国内総生産(GDP)比で既にギリシャに次いでユーロ圏で2番目に高い年金負担はさらに強まる。
その上イタリアの年金はインフレ連動型のため、現在のほぼ2桁の物価上昇率によって問題はさらに悪化することになる。
同国財務省は既に今年6月時点で、来年の国の年金負担のGDP比率が16.2%と、今年の15.7%から上昇するとの見通しを示していた。