[北京 31日 ロイター] - 中国国家統計局が31日発表した10月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.2と、前月の50.1から低下し、景況改善・悪化の分岐点となる50を予想外に下回った。世界的な需要鈍化と新型コロナウイルス対策の厳しい規制が生産に打撃を与えた。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は50.0だった。
非製造業PMIも48.7と前月の50.6から低下した。製造業と非製造業を合わせた総合PMIは49.0で、前月の50.9から低下した。
中国の第3・四半期国内総生産(GDP)伸び率は前年比3.9%と第2・四半期の0.4%から加速し、市場予想の3.4%を上回った。
ただ、長引くコロナ規制や不動産市況の低迷、世界的な景気後退(リセッション)のリスクにより、中長期的に一段の回復が可能か先行きは不透明となっている。
キャピタル・エコノミクスのZichun Huang氏はこの日のPMI統計について、コロナによる混乱が悪化し輸出受注が引き続き圧迫される中、今月にモメンタムが一層失われたことを示していると指摘。「ゼロコロナ政策は続く見通しで、経済は来年にかけても苦境が続くだろう」と述べた。
統計発表後、中国本土の主要株価指数はいずれも下落。オフショア人民元は対ドルで0.32%下落した後、小幅高に転じた。
エコノミストは今月開かれた共産党大会後もしばらくはコロナ規制が継続されるとみており、新たに発足した指導部が経済成長よりコロナ抑制を優先するとの懸念が高まっている。
キャピタル・エコノミクスのHuang氏は「われわれの予想では、ゼロコロナ政策は2024年まで解除されない見通しで、対面サービスの活動は引き続き抑制される」との見方を示した。
また、輸出減速や不動産市場の問題、対ドルでの人民元安も景気見通しの重しになっているとした。
エコノミストは、中国当局が5.5%前後としている今年の経済成長目標を達成できないと予想している。直近のロイター調査では、2022年の成長率は3.2%と見込まれている。23年は5.0%に上向く見通し。
<需要が鈍化>
製造業PMIでは新規受注の指数が4カ月連続で50を割り込み、需要減退を示した。製造業者は利上げやインフレ、ウクライナ戦争を背景とした外需の落ち込みに苦慮している。
工場ではコストを減らすため人員削減を強いられており、労働市場を巡る懸念が消費や消費者信頼感を圧迫。PMIの雇用指数は昨年3月以降低下している。
国家統計局が公表するPMIは主に大企業や国有企業が対象。一方、民間部門である財新が11月1日発表予定のPMIは、中小企業や沿岸地域の企業に焦点を当ててている。
ジョーンズ・ラング・ラサールのチーフエコノミスト、ブルース・パン氏は、中国は経済の安定化に向け第4・四半期に大型プロジェクトの建設を加速し、投資を拡大する必要があると指摘した。