[パリ 25日 ロイター] - フランスの高級ブランドグループ、ケリングが25日に発表した第1・四半期の為替変動や買収の影響を除く売上高は50億8000万ユーロ(55億8000万ドル)で、前年同期比で1%の増加にとどまった。
主力ブランドの1つ「グッチ」が競合相手ほど中国の経済活動再開の恩恵を受けられなかったことや、米国での大幅減収が響いた。
「ルイ・ヴィトン」を展開するLVMHや「バーキン」のバッグで知られるエルメスは第1・四半期の売上高伸び率がそれぞれ17%と23%だった。
ケリングのフランソワ・アンリ・ピノー会長兼最高経営責任者(CEO)は、第1・四半期を通じて業績のトレンドは改善基調だったと強調しつつも、全体として見れば依然として強弱要素が入り交じっているとの見方を示した。
中国が事業の大半を占めるアジア太平洋地域の収入は10%増加。一方米国は18%の減収となった。同社は既に、物価高騰に伴ってより若く、資産が少ない消費者が高級品の購入を抑えているので、皮革製品などの売上高が鈍化すると警告を発していた。
グッチは近年、ブランドとしての勢いにはっきりと陰りが見られ、昨年11月にはクリエイティブディレクターのアレッサンドロ・ミケーレ氏が退社する事態になった。
後任のサバト・デ・サルノ氏は来月就任予定で、9月にはミラノで同氏が手がける初めてのファッションショーが開催される。ただそうした新作が店頭に並ぶのは来年以降とみられ、グッチは当面売上高や利益率がさらに低迷しかねない。
ケリングのジャン・マルク・デュプレ最高財務責任者(CFO)も、グッチをより高級な路線に向かわせる作業に力を注いでいると説明した上で、「そうした全ての取り組みはすぐに実を結ぶことはない。数週間で市場シェアを大幅に取り戻すのは不可能だ」と認めた。