ン部[ワシントン 9日 ロイター] - バイデン米大統領は9日、共和党のマッカーシー下院議長ら議会指導部と債務上限問題について協議を開いたが、双方とも主張を譲らず、平行線に終わった。12日に再び協議を行うことでは合意した。議会が上限を引き上げなければ、早ければ6月1日にも米国債のデフォルト(債務不履行)に陥る懸念が出ている。
協議は約1時間行われた。バイデン氏とマッカーシー氏は、12日の協議に向けて妥協の余地を探るべく、ホワイトハウスと議会スタッフが毎日会合を開くことで一致した。
バイデン氏は、9日の協議について「生産的」だったと発言。政府支出削減に向け、未使用の新型コロナウイルス対策資金活用を検討する意向を示すなど、共和党の要求に歩み寄る姿勢を示唆した。
バイデン氏は一方で、共和党はデフォルトの脅威を取り除かなければならないと改めて主張。最終的には公的債務に関する合衆国憲法修正第14条を発動する可能性も否定しなかった。
「政治的な駆け引きが多く、それはしばらく続くだろう」としながらも「協議に参加した誰もがデフォルトのリスクを理解しており、取り組みは進んでいる」などと述べた。
一方、マッカーシー氏は進展のなさを強調。「新しい動きは見られなかった」と記者団に語り、土壇場まで協議を拒んできたとして大統領を批判した。しかし、バイデン氏が交渉の一環として、新エネルギープロジェクトの許可プロセスに関する改革を議論することに前向きな姿勢を示唆したとも指摘した。
バイデン氏は債務上限を無条件で引き上げるよう議会に求め、マッカーシー氏は上限引き上げの条件として歳出の大幅削減を要求している。
マッカーシー氏は、合意のための時間を確保するために9月まで債務上限を引き上げる案については否定的な見方を示した。バイデン氏は協議後、そうした短期的な解決策も排除はしないと述べた。
過去の債務上限問題では通常、ぎりぎりのタイミングで合意に至り、デフォルトを回避してきた。2011年には、米国債の格下げで市場が混乱した。専門家は、今回は政治的な分断が一段と拡大しているため、状況はより危険だと警告している。