[東京 10日 ロイター] - 来週の東京株式市場は神経質な展開となりそうだ。いったん下げ止まったかにみえる中国株だが、下値不安はぬぐいきれないほか、中国実体経済への波及懸念から投資家は半身の構えを崩していない。ギリシャ情勢への懸念もくすぶり、リスク回避の動きが強まれば、日本株が再び下値を試す公算が大きい。一方、外部環境が落ち着きを取り戻せば、バリュエーション面での割安感などが意識され、日経平均2万円回復が見込まれている。
日経平均の予想レンジは1万9000円─2万0300円。 投資家心理を示すとされる日経平均ボラティリティ指数 .JNIV は9日に一時30.85へと急上昇。10日終値では24.62とやや落ち着きを取り戻したが、それでも6月の終値平均値18.60を大きく上回っている。オプション市場ではプット(売る権利)の建玉がコール(買う権利)の建玉を3割以上、上回っており、一段の下げに対する警戒感は強い。
上海総合株価指数 .SSEC は9日安値から15%以上、値を戻し、下げ止まり感が広がった。中国当局が矢継ぎ早に出した一連の株価支援措置がようやく効果を発揮した格好だが、市場では「上場銘柄の約半数がいまだ売買が停止されている。これらが再開された時に再び売られる懸念があるほか、中国の実体経済への影響も怖い」(国内証券)と半信半疑だ。
特に中国では13日に6月貿易収支、15日には4─6月期GDPや6月鉱工業生産、6月小売売上高など一連の経済指標が予定されており、市場予想を下回れば、中国経済への懸念が高まりやすい。貿易収支では輸入の予想中央値が前年比15.0%減と、前月の17.6%減に続いて大幅な落ち込みを示す見通し。GDP伸び率は前年比6.8%程度が見込まれている。
ギリシャ問題に関しては、9日に提出したギリシャの新たな財政改革案を受けて、12日までに債権団との支援合意がまとまれば、株価の支援材料となる。一方、合意決裂となればギリシャの実質的なユーロ圏離脱の可能性が高まり、再びリスクオフに傾く公算が大きい。そうなれば日経平均1万9000円への下振れが警戒されるという。
もっとも海外情勢の不透明感が和らげば、日本株が戻りを試すとみる市場参加者は多い。日経平均の予想PERは15倍台まで低下しており、押し目買いを入れやすいという。一方で「急落場面で仕込んだ個人投資家は戻れば売りを出しやすい」(ネット系証券)とみられるほか、「海外年金などのロングマネーは打診買いにとどまっている。日本株が急速に値を戻すのは時期尚早」(外資系証券トレーダー)との声も出ている。
(株式マーケットチーム)