[ワシントン 12日 ロイター] - アフガニスタンで反政府武装勢力タリバンが勢力を拡大していることを受け、米国はアフガン首都カブールの米大使館の職員を縮小し、約3000人の部隊を空港に一時的に派遣する。米当局が12日発表した。
米国務省のプライス報道官は記者団に対し、「われわれは大使館に勤務する職員の安全を守る最善の手段を判断するために、日々、治安状況を評価している。それに基づき、変化する治安状況を考慮して、カブールでの民間人の活動範囲を一段と縮小する」と表明。アフガンでの外交的プレゼンスを今後数週間以内に「中核的な」水準に引き下げると述べた。
米国防総省は、職員縮小を確実に実施するために約3000人の部隊を一時的にアフガンに派遣すると発表。国防総省のカービー報道官によると、まずは今後24─48時間以内にカブールの空港に向け派遣するという。
また、状況が悪化した場合に備え、約3500人の部隊を追加で派遣するほか、特別な入国手続きを行うアフガニスタン人を支援するために1000人を派遣する。
カブールの米大使館には約1400人の職員が残っているとみられている。当局者は匿名で「かなりの」人数の職員を退避させると述べた。
こうした中、在アフガニスタンの米大使館は12日、アフガンに滞在する米国民に対し即時に国外退避するよう要請。「利用可能な民間航空機を利用し、直ちにアフガニスタンを出国するよう、米国民に強く求める」とし、「治安状況や少ない人員を踏まえ、カブール市内を含めアフガニスタンで米国民を支援する大使館の能力は極めて限られている」とした。
タリバンは12日、首都カブールの約150キロに位置するガズニ州の州都ガズニを制圧し、カブールに迫っている。
米国防当局者は11日、米情報機関の分析を基に、カブールが90日以内に陥落する恐れがあるとの認識を示した。